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手根管症候群とは?
働く女性が知っておきたい症状とセルフチェックの方法

はじめに:その手のしびれ、見過ごしていませんか?

毎日のパソコン作業、スマートフォンの操作、家事や育児――。働く世代・責任世代の女性にとって、手や指を使わない日はありません。最近、「親指から薬指のあたりがしびれる」「朝になると手がこわばる」といった不快な症状を感じていませんか?
もしかすると、それは手根管症候群のサインかもしれません。
本記事では、手根管症候群の原因や症状、セルフチェックの方法、そしてエビデンスに基づく対処法についてわかりやすく解説します。

手根管症候群とは?

手根管症候群(Carpal Tunnel Syndrome)は、手首の手のひら側にある「手根管」と呼ばれるトンネル状の部分で、正中神経(せいちゅうしんけい)が圧迫されて発症する神経障害です。

手根管とは?
手根管は、手のひらの付け根(手首)にある骨と靭帯で囲まれた狭いトンネルのような構造です。その中を通る「正中神経」は、親指・人差し指・中指・薬指の半分までの感覚と、親指の動きを司っています。 このトンネル内の圧力が上がると、神経が圧迫され、しびれや痛みといった症状が現れます。

手根管症候群の主な症状

以下のような症状が現れたら、手根管症候群の可能性があります。

・親指、人差し指、中指、薬指の一部のしびれや違和感
・特に夜間や明け方にしびれや痛みが強くなる
・手を振るとしびれが一時的に軽くなる
・ボタンがうまくかけられない、コップを落とすなど細かい作業がしにくい
・親指のつけ根の筋肉(母指球)がやせてきた

特に夜間の症状が強いのは、睡眠中に手首を曲げた状態になることが多いため、手根管内の圧力が高まるためです。

手根管症候群になりやすい人とは?

女性に多いのはなぜ?
手根管症候群は特に40~60代の女性に多くみられます。女性の方が手根管が狭いという解剖学的特徴に加え、妊娠・更年期によるホルモン変化や浮腫が影響すると考えられています。
また、以下のような人は発症リスクが高くなることが知られています。

・デスクワークや手作業が多い仕事に就いている
・妊娠中や更年期である
・糖尿病や甲状腺機能低下症などの基礎疾患がある
・関節リウマチを患っている
・手首を酷使する趣味・スポーツを行っている

セルフチェックしてみましょう

以下の簡単なセルフチェック方法を試してみましょう。

① フィレンテスト(Phalen’s test)
1. 両手の甲を合わせ、肘を肩の高さで水平に持ち上げる
2. 手首を曲げた状態で60秒間そのまま保持
3. しびれや痛みが出る場合、手根管症候群の可能性があります

② チネル徴候(Tinel’s sign)
手首の手のひら側を軽くたたいて、指先にしびれやチクチク感が広がるか確認します。
これらはあくまで目安ですが、異常を感じた場合は早めに整形外科や神経内科を受診することをおすすめします。

医学的エビデンスに基づく治療法

保存療法(手術をしない治療)
初期段階の手根管症候群には、以下のような保存療法が効果的とされています。

・手首を安静に保つスプリントの装着(夜間装着が特に有効)
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の服用
・局所ステロイド注射(研究では、ステロイド注射は一時的に症状を改善する効果が認められています)

また、生活習慣の見直しも重要です。キーボードの高さを調整したり、スマートフォンの長時間使用を控えたりすることで、手首への負担を軽減できます。

手術療法
症状が進行し、筋萎縮や感覚の低下がある場合には、手根管開放術(手根管を切開し、神経の圧迫を解除する手術)が検討されます。
手術後の満足度は高く、回復も比較的早いとされています。

日常生活でできる予防とセルフケア

手首を冷やさない
冷えは血行を悪くし、症状を悪化させます。冬場は手首を保温する手袋などを活用しましょう。

手首ストレッチ
軽いストレッチは血流を促進し、手根管の圧力を下げる効果が期待できます。
例:
1. 手のひらを上に向け、もう一方の手で指先を優しく後ろに引く
2. 15~20秒キープして、左右それぞれ3回ずつ行う

姿勢の見直し
猫背や肩こりは手首の動作にも影響を与えるため、パソコン作業時の姿勢を整えることも予防につながります。

まとめ

働く世代の女性に多い「手根管症候群」は、初期のサインを見逃さず、早期対応することで悪化を防ぐことができます。手のしびれや痛みが続く場合は、自己判断せずに医療機関を受診しましょう。
毎日のセルフケアや生活習慣の見直しも大切です。今日から少しずつ意識して、手をいたわる習慣を始めてみませんか?

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