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医療法人ハートフル
アマノリハビリテーション病院

2024年2月取材【アーカイブ配信】

高齢患者の運動療法としてB-SESを導入

ーアマノリハビリテーション病院の特徴

●川村先生

 当院は「地域のために、地域とともに」という基本理念のもとに、回復期から生活期までのリハビリテーションを提供しています。また、「成人リハビリテーション」「小児リハビリテーション」「地域リハビリテーション」の3本柱をもとに、入院病床数は回復期91床、地域包括病棟29床、外来リハビリテーションにおいては成人外来・発達外来、そして訪問リハビリテーション・通所リハビリテーションと、多岐にわたってリハビリテーションを提供している施設です。

ーB-SES導入時の課題と背景

●川村先生

 当院は、B-SESを導入して5年以上になります。最初は当時広島大学病院リハビリテーション科の木村先生から紹介していただいたのがきっかけで、当院でも「実際に試してみよう」と始まりました。当院も当時から高齢の患者さんが多く、その中でいかに運動療法を有効に実施し筋力増強をしていくかということが、私たちの課題でした。
 B-SESを紹介していただいて、デモンストレーションのときに職員が実際にベルト電極を着けてみて、全身というか本当に筋収縮が入って、寝たままでも筋肉が動くと感じました。ちょっと極端な話ですが、やった後の脱力感というか、本当に自分で筋収縮をしたのと同じ感覚が得られたのがいちばん大きく、それが導入の決め手になったと思います。

●天野先生

 そうですね、彼女が今言ったように、広島大学病院の木村先生から「ホーマーイオン良いよ」とお聞きして、「じゃあ、やってみようか、試してみようか」となったのがきっかけですね。

「運動できない患者」にB-SESを活用

ーB-SESの使用対象者

●川村先生

 当院でのB-SESの実際の使用例としては、廃用症候群だけの疾患だけではなく、別の疾患が付いていて重複障がいがあり、加えて廃用症候群を呈した対象が多いことが現状です。もちろん運動器疾患の方や、脊髄損傷の方などにも使っています。その他、当院は心臓リハビリテーションも実施しておりますので、そういった患者さんにも、先生と禁忌をしっかり確認しながらB-SESを使用しています。
 また、発達外来の患者さんがこられているので、脳性麻痺の方にも使用しています。

●天野先生

 実際に患者さんを診て、「この人は筋力増強が必要だが、自分で自主的には出来ない、体力的にちょっと虚弱で攻めていけないな」といった患者さんに使っています。脊髄損傷の方で、自分
で全く随意的に動かせない方などですね。ある程度の頚髄損傷なら体幹のトレーニングも必要になりますが、そういったところに使っています。

●川村先生

 脊髄損傷の患者さんに対してB-SESを使用しているのは、どちらかというと、完全損傷の方よりは不全損傷の方が多いです。不損傷の方でいえば、例えばひとりでトランスファーを行うときに自分の足で支えることができる、あるいは、杖でなんとか歩けるという方が多いので、そういった方にB-SESを使っています。

●天野先生

 私は主に、頸髄損傷の体幹に混在していて、随意的に上手く動かせないところに体幹強化、筋力強化の目的でB-SESを使っています。
 完全損傷の部位にはあまり使わないですね。筋肉収縮の痛みがわからないと、どうだったかというフィードバックも難しいです。そのため、完全麻痺の人にはあまりお勧めできないかなと思います。ただし、不全麻痺で直ぐ疲労してしまって、筋力強化トレーニングを上手くこなせないなど、そういった随意的に動かせない部分と動かせる部分が混在している場合には、B-SESの使用はすごく良いのではないかと思います。

ーB-SES導入以前のリハビリ

●川村先生

 B-SESを導入する前のリハビリは、療法士が徒手で筋力増強運動を行ったり、可能な方は、エルゴメーターや、上肢のトレッドミルや重錘バンドなどを使っていました。その時から比べると、B-SESは装着するだけで患者さん自らの筋肉が収縮しますので、有用というイメージがあります。

●天野先生

 ただ、当院では、まだ効果が分かる具体的なデータを取ってはいません。ですから、実際にエコーで筋肉が厚くなったとか、そういったところのエビデンスはありません。実感としては、「B-SESを使用して、患者さんの筋力は良くなっているな」と把握はできていますが、今後は具体的なエビデンスを得ていく必要があると思っています。

ーB-SESの実施と運用

●川村先生

 当院でのB-SESの実施プロトコールについては、これというかたちは決まってはいませんが、ひとりの患者さんに1日1回20分、回復期であれば毎日ですね。外来であれば、外来に来られた日に毎回実施しています。逆に、他の医療機関で実際にどういったプロトコールでB-SESを実施しているのかを教えていただければと思います。

●インタビュアー

 研究などを行っていない病院では、川村先生がおっしゃるように、厳密にプロトコールに則って行っているのは、むしろ少ないと思います。ホーマーイオン研究所がご提案差し上げているのは基本的に20分ですが、その20分はリハビリの1単位で、セラピストの先生が分かりやすいように20分というプロトコールが学会発表等では多いようです。しかし、20分ですと、リハビリを1単位しか取っていない場合は、時間的な余裕が無くなってしまいますので、実際は15分位の運用が多いのかなと思います。

●天野先生

 それを週に何回行っていますか?

●インタビュアー

 クリニックさんだと多くても週2回位しか実施できませんので、クリニックだとおおよそ週2回位、入院患者さんは毎日行っているところも多いと思います。

●川村先生

 当院としては、回復期病棟で毎日実施した患者さんと外来で週2回実施というところのデータも出していく必要があると思っています。

患者さんからのB-SESの評価

ーリタイアする患者さんがいない

●天野先生

 患者さんがB-SESを使用することについて、私の印象としては、B-SESの使用を、例えば痛くて止めたいといったことで途中でリタイアする人は今のところいませんね。ですから、B-SESをずっと継続して使ってもらえています。

●川村先生

 理学療法士の立場から見ても、天野先生が言われるように、患者さんが途中で止めたいという方がいないというのは、いちばん良いことだと感じています。自分で動かなくても筋肉が付いてきて、それで、患者さんご自身でも筋力が付いてきたという効果が得られて、それが次の活動に結びついていくというところがすごく良いと思います。
 患者さんの中には、B-SESを最初「電気治療か?」と思って、それはちょっと嫌という方もいらっしゃいました。しかし、実際にベルト電極を着けてみたら電気刺激のピリピリ感がほぼ無く、筋肉の収縮が得られるところ、患者さんのB-SESに対しての最初のイメージと実際使ってみたところの違いを実感されて、それはすごく良い評価として聞いています。
 介助が必要な患者さんでも、車椅子に座ったままベルト電極を取り付けられるというところが良いですね。必要な介助が最小限で済むところが大きいと思います。また、寝たままの患者さんでも使用できるのも良いですね。

●天野先生

 電気刺激装置はいろいろなものがありますが、B-SESは患者さんの受けが良いと言いますか、途中のリタイアが全く無いのは、すごく良いと思っていますし、私としてはもっと積極的に使って欲しいと思います。

●川村先生

 正直、理学療法士の立場としては、最初は「機械で筋力増強なんか出来るもんか!」と思っていました。しかしB-SESを実際に使ってみて、やはり患者さんが嫌がらずに途中で止めない、継続性があるということで、そのメリットを実感しました。

ーシステム構築の必要性

●天野先生

 地域包括の病棟でのB-SESの使用については、そこは、私はちょっと思っていることがあります。セラピストがリハビリに関われるのは2単位までですよね。私はその2単位以外のところで、B-SESを活用するのがとても良いのではないかと思っています。やはり、その2単位だけで筋力増強の効果を得るのはとても難しいです。理学療法士が、まず2単位で動作訓練などを主に行って、その後の筋力強化をB-SESを使いながら自己トレーニングメニューで行っていくのが理想的だと考えておりまして、それを是非やってほしいです。

●川村先生

 病院としてのシステム作りをする必要性は感じています。しないといけないかなとは思います。

●天野先生

 理学療法士が楽になるからB-SESを導入する、というのはあまりお勧めできないと思います。

●インタビュアー

 そのあたりの兼ね合い非常に難しいのですが、B-SESを使用することによって、地域包括のハードルを超えやすくなるというのは、特に病院の事務の方は良くおっしゃいます。

●天野先生

 私は、リハビリテーション技術協会のデータも見ていますが、理学療法士が必ず関わらないと、効果はあまり期待出来ないようです。

ー診療報酬の算定方法

●川村先生

 診療報酬に関しては、基本的に理学療法士が患者さんについて評価しながら施術している場合は、疾患別リハビリテーション料の中で算定しています。しかし、同席しない場合は算定していません。

ー今後の展望  ~課題と期待~

●天野先生

 私は、B-SESはたいへん素晴らしいと思います。特にホーマーイオンさんの技術力が素晴らしいと思っています。ですから、B-SESを使い続けたいと思いますが、やはり、私としては、エビデンスの蓄積が重要だと思います。今後の展望として、例えば、B-SESだけの使用プロトコールを決めて「この患者さんはこう、あの患者さんはこうなった。」といった情報を蓄積していきたいと思っていますね。

●川村先生

 私からは、B-SESが小さくならないかなというのがあります。病棟で持ち運べ感じの“ポータブル版B-SES”のような製品があったら良いと思います。訪問リハビリテーションでも使用できるので!

●天野先生

 ナイス、それナイスです!