まず、「健康診断」と「人間ドック」の違いを理解しておきましょう。
健康診断は、企業や自治体が定期的に行う基本的な健康チェックです。身長・体重・血圧・血液検査・尿検査・視力・聴力などを確認し、生活習慣病の早期発見に役立ちます。
一方、人間ドックは、より詳細かつ専門的な検査を行う自費診療の健康チェックです。検査項目は医療機関ごとに異なりますが、内視鏡検査や心臓・脳の画像診断、腫瘍マーカーなどを含むことが多く、より精密な検査が可能です。
この違いを理解し、自分の年齢・家族歴・生活習慣などに応じて使い分けることが大切です。
検査結果には、正常値(基準値)が記されています。この基準値から外れていると「要観察」や「要精密検査」などの判定がされますが、すぐに病気というわけではありません。以下、主要な項目の見方をご紹介します。
血圧
高血圧は動脈硬化や心筋梗塞、脳卒中のリスクを高めます。日本高血圧学会のガイドラインによれば、診察室血圧で140/90mmHg以上が高血圧とされています。ただし、家庭での測定値が重要視されており、自宅では135/85mmHg以上が高血圧の目安です。
血糖値・HbA1c
血糖値は空腹時で100mg/dL未満、HbA1cは5.6%未満が望ましいとされています。高値が続くと糖尿病のリスクが上昇します。2020年の研究では、HbA1cが6.0%以上の群で心血管疾患リスクが有意に増加したことが報告されています。
コレステロール(LDL/HDL)
LDL(悪玉)コレステロールは120mg/dL未満、HDL(善玉)は40mg/dL以上が理想です。LDLが高いと心疾患リスクが高まるため、食生活や運動による管理が重要です。
肝機能(AST・ALT・γ-GTP)
肝臓の状態を示す数値で、脂肪肝やアルコール性肝障害の早期発見に役立ちます。特にγ-GTPが高い場合は飲酒との関係が疑われるため、生活習慣の見直しが必要です。
厚生労働省の調査によれば、健康診断の結果で「要再検査」や「要精密検査」とされた人のうち、実際に医療機関を受診した人は約6割にとどまるとされています。この「放置」が、病気の進行や重症化につながるおそれがあります。
たとえば、慢性腎臓病(CKD)の初期段階は自覚症状がなく、健康診断で初めて発見されることが多いですが、早期に対処すれば進行を遅らせることが可能です。
1.毎年、継続して受ける
単年では体調の変化に気づきにくいため、継続的に受けて経年変化を追うことが重要です。過去の記録と比較することで、微妙な異常にも気づけます。
2.生活習慣の見直しに役立てる
結果が基準値内であっても油断は禁物です。たとえば、コレステロール値が基準ギリギリであれば、将来的に異常値になるリスクがあります。「異常が出る前」に予防する意識が大切です。
3.専門家に相談する
「要再検査」「要精密検査」と書かれていても、何をすればいいのか分からない方も多いでしょう。かかりつけ医や専門医に相談することで、適切な対応や検査への橋渡しが可能です。
多忙な日々の中で体調管理が後回しになりがちな働き世代ですが、健康診断や人間ドックは未来の自分への健康投資といえます。
将来的な病気の予防は、医療費の削減や生活の質(QOL)の向上にもつながります。米国の大規模研究では、定期的な予防医療により健康寿命が延びることが確認されています。
健康診断や人間ドックの結果は、単なる数値の羅列ではなく、未来の健康を守るヒントの宝庫です。その読み方を知り、結果を正しく理解して行動に移すことが、働き世代の健康を守る第一歩です。
受けた検査の「結果」をただ眺めて終わらせず、気になる数値や変化があれば、ぜひ医療機関で相談し、生活習慣の改善につなげていきましょう。