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CKD・糖尿病患者に対する透析予防指導管理料のすべて
~算定条件と実践ポイント~

透析導入を防ぐために、慢性腎臓病(CKD)や糖尿病患者に対する早期の介入が重要です。透析予防の観点から、特に糖尿病やCKD患者に対する予防的な指導は、医療従事者が積極的に取り組むべき課題です。日本における透析導入の主な原因として、糖尿病が大きな割合を占めていることは広く知られています。透析に至る前に、患者が適切な予防策を講じることが重要であり、これを支援するために設けられているのが「透析予防指導管理料」です。
透析予防指導管理料には、糖尿病透析予防指導管理料と慢性腎臓病透析予防指導管理料の2つの主要な管理料があり、それぞれに求められる指導内容や算定条件が異なります。本コラムでは、この2つの指導管理料について、各々の特徴や算定条件について詳しく解説します。

CKDと糖尿病の関係

慢性腎臓病(CKD)は腎機能が進行的に低下する疾患であり、進行すると最終的に透析治療を必要とすることがあります。CKDの原因には高血圧や糖尿病などが含まれており、特に糖尿病がCKDを引き起こす主な要因の一つとされています。糖尿病患者の腎機能が徐々に低下することで、糖尿病性腎症と呼ばれる腎障害が進行し、最終的には透析治療に至る場合があります。
また、糖尿病は日本における透析患者の約40%の原因とされています。したがって、糖尿病を適切に管理し、腎機能の低下を予防することが透析導入を防ぐためには非常に重要です。糖尿病患者に対する適切な透析予防指導は、透析導入の予防だけでなく、患者のQOL向上にも寄与します。

透析予防指導管理料の種類と算定条件

透析予防指導に関連する管理料には、糖尿病透析予防指導管理料と慢性腎臓病透析予防指導管理料の2つがあり、それぞれの算定条件に応じて医療機関での指導が行われます。

1. 慢性腎臓病透析予防指導管理料
慢性腎臓病透析予防指導管理料は、CKD患者に対して透析導入を防ぐための指導を行う際に算定される管理料です。この管理料は、CKD患者が進行する前に、腎機能の維持を目指して多職種による包括的な指導を行うことを目的としています。

対象患者:慢性腎臓病(CKD)の患者で、腎機能が軽度から中等度に低下している患者(eGFRが45~60 ml/min/1.73m²程度)。

算定条件:
・CKDの進行状況に合わせた個別指導が行われること。
・食事療法や運動療法が記録されていること。
・月1回まで算定可能(所定点数:250点)。

慢性腎臓病透析予防指導管理料では、食事制限(塩分やカリウム制限)や適度な運動(有酸素運動や筋力トレーニング)を指導することが求められます。これらは腎機能を維持し、進行を防ぐために重要な要素です。

2. 糖尿病透析予防指導管理料
糖尿病透析予防指導管理料は、糖尿病患者に対して透析予防を目的とした指導を行う際に算定される管理料です。糖尿病による腎症の進行を防ぐため、血糖コントロールの維持が最も重要なポイントとなります。

対象患者:糖尿病性腎症第2期以降の患者。

算定条件:
・糖尿病専門医または腎臓専門医による指導が行われること。
・生活習慣の改善指導(食事療法、運動療法)の記録があること。
・月1回まで算定可能(所定点数:250点)。

糖尿病透析予防指導管理料では、糖尿病性腎症の進行を防ぐため、血糖コントロールを中心に指導が行われます。食事療法や運動療法に加え、患者の服薬管理や定期的な腎機能のモニタリングも重要な要素です。

透析予防指導管理料の効果

透析予防のための指導は、腎機能を維持し透析の必要性を遅らせる効果があることが、数多くの研究で示されています。例えば、2017年のKDOQIガイドライン(Kidney Disease Outcomes Quality Initiative)では、糖尿病性腎症患者に対する多職種の介入(栄養士、理学療法士、薬剤師との連携)によって、腎機能の低下速度が遅くなることが報告されています(National Kidney Foundation, 2017)。
また、運動療法が腎機能の維持に貢献することも、エビデンスに基づく研究で確認されています。特に、有酸素運動や筋力トレーニングは、CKD患者の血圧低下や体重管理に寄与し、透析導入を遅らせる効果があるとされています。

算定における注意点

透析予防指導管理料を算定する際には、以下の点に注意が必要です。

・診療記録の充実:指導内容や患者の経過について詳細に記録する必要があります。
・診療報酬点数表の確認:同月内に別の管理料と併算定できない場合があるため、最新の診療報酬点数表を確認することが重要です。
・医師の役割:糖尿病透析予防指導管理料や慢性腎臓病透析予防指導管理料は、腎臓専門医や糖尿病専門医による指導が求められるため、専門医との連携が必須です。

まとめ

透析予防のための指導は、患者の腎機能を保つために不可欠な介入です。糖尿病透析予防指導管理料や慢性腎臓病透析予防指導管理料は、これらの指導を適切に行うための重要な手段です。これらの管理料を活用することで、透析導入を遅らせるとともに、患者の生活の質(QOL)の向上にも寄与します。

※本記事は、最新の診療報酬情報とエビデンスに基づき作成されていますが、制度は改訂される場合がありますので、詳細は厚生労働省の通知をご確認ください。

参考文献

1. 日本透析医学会. (2020). わが国の慢性透析療法の現況.
2. National Kidney Foundation. (2017). KDOQI Clinical Practice Guideline for Diabetes and CKD: 2012 Update.
3. 厚生労働省. (2024). 医科診療報酬点数表.
4. 日本糖尿病学会. (2023). 糖尿病治療ガイドライン.

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