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パニック障害とは?
突然の動悸や息切れ…症状と正しい対処法を知ろう

「突然、強い不安や恐怖に襲われて、動悸がして息が苦しくなる」「このまま死んでしまうのではないかと感じた」——このような経験はありませんか?それは、パニック障害の可能性があります。日本では年々、精神的ストレスや不安を訴える人が増え、パニック障害の認知も高まってきました。パニック障害は決して珍しいものではなく、生涯有病率は約1〜3%とされ、誰にでも起こり得る病気です。本コラムでは、パニック障害の代表的な症状や発症メカニズム、エビデンスに基づいた対処法について、わかりやすく解説します。正しい知識と対応方法を知ることで、つらい症状を和らげ、日常生活を取り戻す第一歩を踏み出しましょう。

パニック障害とは?

パニック障害とは、「パニック発作」と呼ばれる強い不安発作を繰り返し経験し、その発作がまた起こるのではないかという不安(予期不安)や、発作を避けるために行動が制限される状態をいいます。

パニック障害の主な症状

パニック発作は数分〜数十分間続く激しい不安と身体症状で、次のような症状が典型的です:
・激しい動悸、心拍の増加
・呼吸困難(息が詰まる、過呼吸)
・発汗
・めまい、ふらつき
・胸の痛みまたは圧迫感
・死への恐怖、気が狂いそうな感覚
・手足のしびれ、寒気・ほてり
・非現実感(現実から切り離された感じ)
これらの症状は、心筋梗塞や脳卒中と誤認されることもあり、救急外来を受診するケースも多く見られます。

なぜ突然パニック発作が起こるのか?

パニック障害の原因は完全には解明されていませんが、脳の扁桃体や前頭前野、自律神経系の過活動が関与していると考えられています。とくに、自律神経のうち交感神経が過剰に優位になることが、心拍数や呼吸数の急激な変化を引き起こすとされています。また、遺伝的要因や過去のトラウマ、ストレス耐性などもリスク因子として報告されています。

パニック障害の診断

診断には、精神科医や心療内科医による問診が基本です。前述のDSM-5の基準に照らして、以下の条件を満たすかが診断のポイントになります:
・突然のパニック発作が繰り返し起こる
・発作がまた起こることへの強い不安が1ヶ月以上続いている
・発作によって日常生活や行動が制限されている
他の疾患(心疾患、甲状腺異常など)を除外するための検査も必要になることがあります。

パニック障害の対処法と治療法

1. 認知行動療法(CBT)
最もエビデンスのある治療法の一つが、認知行動療法(CBT)です。CBTでは、不安を引き起こす考え方(自動思考)を見直し、より現実的な認知へと修正していきます。例えば、「このまま死ぬのではないか」といった極端な思考を、「パニック発作は命に関わらない」と再解釈し、安心感を獲得する訓練を行います。ある研究でも、CBTはパニック障害の発作頻度と予期不安の両方を有意に軽減する効果が報告されています。

2. 薬物療法
・SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬):パニック障害に対して第一選択薬とされ、不安の持続的軽減に有効です。
・ベンゾジアゼピン系抗不安薬:即効性はありますが、依存性のリスクがあるため、短期使用が推奨されます。
医師の診断に基づいて、CBTと薬物療法を併用することが最も効果的であると考えられています。

日常生活でできる対処法

呼吸法の実践
パニック発作時は過呼吸になりやすいため、腹式呼吸や4-7-8呼吸法などを使って、呼吸を整えることで自律神経を安定させることができます。

生活リズムの安定
・十分な睡眠
・バランスの良い食事
・適度な運動(ウォーキング、ヨガなど)
これらは自律神経のバランスを整える基本習慣として効果が期待されます。

まとめ

パニック障害は、予期せぬタイミングで強烈な不安が襲ってくる、非常につらい疾患です。しかし、正しい知識とエビデンスに基づく治療によって、改善・克服は可能です。もしご自身や身近な人に思い当たる症状がある場合は、早めに専門医に相談することをおすすめします。

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