仕事中や勉強の最中に「集中力が続かない」と感じた経験はありませんか?
現代社会では、情報過多やストレスによって、集中力を持続させることが難しいと感じる人が増えています。実はこの「集中力の低下」には、自律神経のバランスが大きく関係していることが研究でも明らかになっています。
本記事では、集中力を高めるためのセルフトレーニング方法や、その科学的根拠についてわかりやすく解説します。
集中力とは、「一定の対象に意識を向け続ける能力」のことです。心理学的には注意力(attention)と密接に関係しており、前頭前野や帯状皮質、視覚野などの脳領域が関与しています。
集中力が低下すると、作業効率が下がるだけでなく、ミスやストレスの原因にもなります。最近では、集中力の持続に深く関係するのが「自律神経」であることが、さまざまな研究で示されています。
自律神経は、交感神経と副交感神経から構成され、心拍、血圧、呼吸など無意識に行われる身体機能をコントロールしています。集中力が高まる状態では、交感神経が適度に優位になり、覚醒レベルが上昇します。一方、過度の緊張やストレスにより交感神経が過剰になると、逆に集中が妨げられることもあります。
また、集中力を持続させるには、副交感神経の働きも重要です。副交感神経がしっかり働くことで、心が安定し、「ゾーン」と呼ばれる深い集中状態に入りやすくなります。
呼吸は唯一、自律神経に直接働きかけることができる方法です。深くゆっくりとした腹式呼吸は、副交感神経を優位にし、心身をリラックスさせます。
方法:
・鼻からゆっくり4秒吸い、口から8秒かけて吐き出す
・1日5分から始め、徐々に時間を延ばす
このトレーニングを継続することで、集中状態に入りやすい心身のコンディションが整います。
マインドフルネスとは「今この瞬間に意識を向ける」トレーニングであり、集中力の向上に非常に効果的です。GoogleやAppleなどの企業が導入していることでも話題になりました。
方法:
・静かな場所で椅子に座る
・呼吸や身体感覚に意識を集中させる
・思考が浮かんでも批判せず呼吸に戻す
マインドフルネス実践者の脳では、集中力や感情制御に関係する前頭前野の活性が確認されています。
適度な運動は、脳の神経可塑性を高め、集中力を維持するうえで非常に効果的です。特に有酸素運動(ウォーキング、ジョギング)は、脳内のドーパミンやセロトニンの分泌を促し、注意力の維持を助けます。
・週に3回、1回30分程度の運動を目安に取り入れましょう
集中力を高めるには、日々の生活習慣も大切です。
・睡眠の質を整える
睡眠不足は交感神経の過活動を引き起こし、集中力の低下を招きます。毎日同じ時間に寝起きする、就寝前のスマホを控えるなど、睡眠の質を意識しましょう。
・食事と水分補給
ブドウ糖や鉄分、ビタミンB群が不足すると、脳のエネルギー供給が低下し、集中力が落ちます。バランスの良い食事と、こまめな水分補給も大切です。
集中力の低下には、自律神経のバランスが深く関係しています。呼吸法やマインドフルネス、適度な運動などのセルフトレーニングを取り入れることで、交感神経と副交感神経のバランスを整え、集中しやすい状態をつくることが可能です。
日常生活の中に、少しずつ意識的なトレーニングを取り入れてみてください。継続することで、仕事や勉強のパフォーマンスがきっと向上するはずです。

