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お心当たりの方はご自身でチェック!手根管症候群の重症度とセルフ診断ポイント

はじめに

手や指のしびれや痛み、特に親指から薬指の一部にかけての違和感に心当たりはありませんか?それは「手根管症候群」のサインかもしれません。今回は、手根管症候群の重症度の見分け方を中心に、症状のチェック方法や適切な対処法について詳しく解説します。医療機関に行くべきか迷っている方にもわかりやすくまとめていますので、ぜひ参考にしてください。

手根管症候群とは?

手根管症候群は、手首の部分にある「手根管」と呼ばれる狭いトンネルの中で、正中神経(せいちゅうしんけい)が圧迫されて起こる神経障害です。これにより、しびれや痛み、筋力低下が生じます。特に指先の感覚異常や握力の低下が特徴的です。
この症状は、パソコン作業や細かい手作業を長時間続ける人、妊娠中の女性、糖尿病患者などに多く見られます。

手根管症候群の主な症状

・親指から薬指の一部にかけてのしびれやピリピリ感
・夜間に症状が強くなることが多い
・手の痛みや違和感で目が覚める
・握力の低下や物を落としやすくなる
・親指の付け根の筋肉がやせてくることもある
これらは初期症状ですが、放置すると症状が悪化し、日常生活に支障をきたすこともあります。

手根管症候群の重症度の目安とは?

手根管症候群は軽度から重度まであり、症状や機能障害の程度で重症度を判断します。重症度を把握することは、適切な治療方針を決めるうえで重要です。

軽度
・指のしびれや違和感が時々ある
・夜間の痛みやしびれがあるが日中は軽減
・筋力低下や筋萎縮はほぼない

中等度
・しびれが日中も続く
・握力の低下がみられる
・親指の付け根の筋肉にやや萎縮が見られる場合もある

重度
・常に強い痛みやしびれがある
・筋力が大幅に低下し、物をつかみにくくなる
・親指の筋肉が著しく萎縮し、日常動作に支障が出る

ご自身でできる手根管症候群のセルフチェック法

次の簡単なテストを行い、症状の重症度を確認してみましょう。これらは医療機関で行う専門検査の一部の簡易版としてご利用ください。

1. ファレンテスト(Phalen test)
両手の手の甲を合わせて手首を90度に曲げ、そのまま30秒〜60秒キープします。しびれや痛みが指先に出る場合は陽性の可能性があります。

2. チネルサイン(Tinel sign)
手首の手根管付近を軽く叩きます。指先にしびれや電気が走る感覚があれば陽性です。

3. 握力のチェック
握力計があれば測定し、利き手と比較します。顕著に弱くなっている場合は神経障害が進行している可能性があります。

手根管症候群が疑われる場合の対処法

軽度の場合は、日常生活の見直しやセルフケアで症状が改善することもあります。以下を試してみてください。
・手首を過度に曲げ伸ばししない
・長時間のパソコン作業や手作業の合間に休憩をとる
・手首用のサポーターや装具で安静を保つ
・手首の冷えを防ぎ血流を促進する
中等度以上の場合は、整形外科やリハビリ科の受診をお勧めします。神経伝導速度検査(NCS)などの専門検査で診断を確定し、重症度に応じた治療が行われます。

医療機関での治療方法

・保存療法:装具使用、薬物療法(消炎鎮痛薬、ステロイド注射)
・リハビリテーション:神経の圧迫を減らすための運動療法や物理療法
・手術療法:重症例や保存療法で効果がない場合に手根管の圧迫を解除する手術を行う

まとめ

手根管症候群は早期発見・早期対応が大切です。日常での簡単なセルフチェックを行い、違和感を感じたら無理せず医療機関を受診しましょう。症状の重症度を理解しておくことで、適切な治療や生活習慣の改善につながります。健康な手を守るために、ぜひ参考にしてください。

参考文献

1. Padua L, Padua R, Aprile I, Tonali P. Carpal tunnel syndrome: clinical features, diagnosis, and management. The Lancet Neurology. 2001; 1(8): 493-500.
2. Ibrahim I, Khan WS, Goddard N, Smitham P. Carpal tunnel syndrome: a review of the recent literature. The Open Orthopaedics Journal. 2012; 6: 69-76.
3. Keith MW, Masear V, Chung KC, Maupin K, Andary M. American Academy of Orthopaedic Surgeons clinical practice guideline on diagnosis of carpal tunnel syndrome. The Journal of Bone and Joint Surgery. 2009; 91(10): 2478-2479.
4. Bland JD. A neurophysiological grading scale for carpal tunnel syndrome. Muscle & Nerve. 2000; 23(8): 1280-1283.

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