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心拍ゆらぎと自律神経活動の関係とは?~働く女性のためのストレスケアのヒント~

「心拍ゆらぎ」とは? ~一定ではないのが健康の証~

心拍ゆらぎ(Heart Rate Variability:HRV)とは、心拍の間隔が微妙に変化している状態のことです。心臓は常に一定のリズムで鼓動しているわけではなく、わずかな変動(ゆらぎ)を繰り返しています。
一見不安定に思えるこの「ゆらぎ」こそが、健康な自律神経活動のあらわれです。HRVは、自律神経のバランスやストレス状態を評価するための重要な指標とされており、医療やスポーツ分野だけでなく、最近ではウェアラブルデバイスなどで日常的にも測定できるようになっています。

自律神経とは? ~交感神経と副交感神経のバランス~

自律神経は、意識とは無関係に心身のバランスを保ってくれる神経系です。主に「交感神経」と「副交感神経」の2つで構成されています。

交感神経:活動・緊張・ストレス時に優位になる
副交感神経:休息・回復・リラックス時に優位になる


この2つがシーソーのようにバランスを取りながら、心拍・血圧・体温・消化などを調節しています。
心拍ゆらぎ(HRV)が高いと、副交感神経の働きが良好で、ストレス耐性が高くリラックスできている状態を示すとされています。反対にHRVが低下していると、交感神経が過剰に働き、ストレス過多や慢性的な疲労状態にある可能性が考えられます。

働く女性と自律神経のゆらぎ:なぜ今注目されている?

仕事・家事・育児とマルチタスクをこなす女性は、交感神経が過剰に働きがちなライフスタイルを送りやすく、自律神経の乱れやすさが指摘されています。
実際、2020年に発表された研究によれば、20~40代女性のうちストレスを強く感じている群では、心拍ゆらぎ(HRV)が有意に低下していたことが確認されています。つまり、HRVの低下は、心理的なストレスだけでなく、慢性的な疲労や不調の兆候とも言えるのです。
また、女性ホルモンの変動も自律神経と関わっており、月経周期や更年期の影響を受けることも知られています。これにより、女性は自律神経のバランスが変動しやすい傾向にあるため、HRVを日常的にチェックすることが、自分の「今」の状態を把握する一つの手がかりになります。

心拍ゆらぎを高めるには?日常でできるセルフケア

心拍ゆらぎは、後天的にも改善が可能です。以下のような習慣は、副交感神経を優位にし、HRVを高める効果があると報告されています。

1.ゆっくりとした呼吸(腹式呼吸)
深い呼吸は、副交感神経の活動を促進します。1分間に4~6回程度のゆっくりした呼吸が、HRVを高める効果があるとする研究があります。

2.適度な運動
有酸素運動(ウォーキングやヨガなど)は、交感神経の過活動を抑え、自律神経のバランスを整えるとされています。週3回以上の運動習慣をもつ人は、HRVが高い傾向にあると報告されています。

3.質の良い睡眠
睡眠不足は交感神経を過剰に活性化させ、HRVの低下を招きます。寝る前のスマホ使用を控える、入浴で体を温めるなどの工夫が、副交感神経のスイッチを入れる助けになります。

4.瞑想やマインドフルネス
最近注目されているマインドフルネス瞑想は、ストレス緩和だけでなくHRVの改善にも効果的とされており、精神的な安定にもつながります。

HRVを測るには?スマートウォッチでもOK

以前は医療機器でしか測定できなかったHRV(心拍ゆらぎ)ですが、最近ではスマートウォッチやフィットネストラッカーなどの一般的なデバイスでも測定が可能になっています。
Apple WatchやGarmin、Fitbitなどの一部モデルでは、自律神経の指標として「ストレスレベル」や「HRV」などが表示され、日々の変化をチェックできます。
ただし、簡易的な測定には誤差もあるため、継続して使用することで傾向をつかむ目的で活用すると良いでしょう。

まとめ:自律神経と向き合い、心身のバランスを整える第一歩に

心拍ゆらぎは、単なる生理的現象ではなく、ストレスや疲労、自律神経の状態を映す鏡のような存在です。特に、ライフスタイルの変化やプレッシャーが多い働く女性にとって、自分の体の声を数値として「見える化」できるのは、大きな安心にもつながります。
HRVを知ることは、日々の生活を振り返るきっかけにもなります。「頑張りすぎていないか」「ちゃんと休めているか」を客観的に把握し、セルフケアの習慣にぜひ取り入れてみてください。

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