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リハビリテーション科とは?
専門医が担う役割と重要性を徹底解説

高齢化が進む現代において、「自立した生活を取り戻す」ための医療ニーズがますます高まっています。その中心的な役割を担っているのがリハビリテーション科です。近年では、急性期から回復期、慢性期、さらには在宅医療まで、多職種と連携しながら患者を支えるリハビリテーション医療の重要性が再認識されています。
本コラムでは、「リハビリテーション科」とは何か、その役割や意義を解説するとともに、リハビリテーション専門医の重要性や、エビデンスに基づいた医療のあり方について詳しくご紹介します。

リハビリテーション科とは?

「リハビリテーション科」とは、病気やけがによって身体機能・認知機能・日常生活能力に障害が生じた患者に対して、機能回復と生活の質(QOL)の向上を目的とした医療を提供する診療科です。
単なる「機能訓練」ではなく、医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護師、管理栄養士、社会福祉士など多職種チームで構成される包括的な医療サービスが特徴です。
リハビリテーション科の医師は、診断・評価・治療方針の立案、他職種との連携、薬物療法や装具の処方、さらには予後予測まで広範な役割を担っています。

リハビリテーション医療の4つのステージ

リハビリテーション医療は、以下の4つのステージに分けて提供されます。

1. 急性期リハビリテーション
発症直後、または術後すぐに開始されるリハビリで、合併症の予防や早期離床を目的とします。早期介入が機能回復を大きく左右することが明らかになっています(Bernhardt et al., 2015)。

2. 回復期リハビリテーション
機能回復の可能性が高い時期で、日常生活動作(ADL)の改善を中心に行います。日本では「回復期リハビリテーション病棟」がこの役割を担っています。

3. 維持期リハビリテーション
慢性期に移行した患者に対し、現状の能力を維持しつつ、合併症の予防や生活の質の向上を目指す支援が行われます。

4. 在宅リハビリテーション
自宅で生活する患者に対して、訪問リハビリや通所リハビリを通じて支援を継続します。

これらすべての段階において、リハビリテーション科の専門的な知見が求められます。

リハビリテーション専門医の役割と意義

医師としてのリーダーシップ

チーム医療の中で医師が果たすべき役割は、単なる「司令塔」ではありません。患者の全体像を把握し、医学的観点から最も効果的な介入計画を立て、評価を繰り返しながら方向性を調整する「戦略家」としての能力が求められます。

エビデンスに基づく医療(EBM)の実践

たとえば、脳卒中患者への早期リハビリテーション介入は、ADLの改善や退院後の自立に有効であることが報告されています。また、がんリハビリテーションの領域においても、リハビリテーション医の介入によって身体機能の改善や心理的支援効果が確認されています。
こうしたエビデンスを理解し、適切なタイミングと方法で医療介入を行う能力は、専門医の大きな強みです。

課題と展望:リハビリテーション専門医の配置と育成

厚生労働省の報告によれば、リハビリテーション専門医の配置は地域によって偏在が見られ、とくに地方では専門医が不在のケースも少なくありません。この偏在は、医療の質や患者アウトカムに直接影響を与える可能性があります。
今後は、専門医の育成体制の強化とともに、地域包括ケアにおける役割の明確化、ICTの活用による遠隔リハビリテーション支援などが求められるでしょう。

まとめ:リハビリテーション科の未来を支える専門医の存在

「リハビリテーション科とは」単なる訓練の場ではなく、生活を再構築するための医療拠点です。そして、その中核を成すのがリハビリテーション専門医の存在です。
高齢社会における健康寿命の延伸や、QOLの向上を支えるうえで、専門医の果たす役割は今後ますます重要になると考えられます。
医療従事者一人ひとりが、リハビリテーション科の役割や専門医の意義を正しく理解することが、質の高い医療提供体制を築く第一歩となるでしょう。

引用・参考文献

1. Bernhardt J, et al. “A very early rehabilitation trial after stroke (AVERT): a phase 3, multicentre, randomised controlled trial.” Lancet. 2015;386(9988):46-55。
2. Langhorne P, et al. “Early supported discharge services for people with acute stroke.” Cochrane Database Syst Rev. 2011;(7):CD000443。
3. Silver JK, Baima J, Mayer RS. “Impairment-driven cancer rehabilitation: an essential component of quality care and survivorship.” CA Cancer J Clin. 2013;63(5):295-317。
4. 厚生労働省「医師・歯科医師・薬剤師調査」令和3年報告書。

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