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へバーデン結節で水ぶくれ?!
その症状と原因についてわかりやすく解説

はじめに

年齢を重ねるにつれて、手指の関節に痛みや変形が現れることは少なくありません。なかでも「へバーデン結節」は、特に中高年の女性に多くみられる手の疾患のひとつです。近年では、このへバーデン結節に伴って「水ぶくれができた」といった症状を訴える方もおり、ネット上でも関心が高まっています。

本コラムでは、「へバーデン結節」の基本的な症状から、「水ぶくれ」の正体や原因、そして日常生活でできる対処法まで、わかりやすく解説します。ぜひセルフチェックや対策の参考にしてください。

へバーデン結節とは?~加齢とともに増える指の変形~

へバーデン結節とは、手指の第1関節(DIP関節)に変形や痛みを伴う疾患で、主に加齢やホルモンバランスの変化、遺伝などが関与しているとされています。正式には「DIP関節変形性関節症」と呼ばれることもあり、40代以降の女性に多く発症するのが特徴です。

主な症状

・指先の関節にこわばりや痛み
・関節が徐々に変形し、出っ張ってくる
・赤く腫れる
・朝に特にこわばりを感じやすい
・両手の同じ位置に出ることが多い

初期段階では痛みだけで済むことが多いですが、進行すると関節が固まり、動かしにくくなることもあります。

「水ぶくれ」ができるのはなぜ?その正体とは

粘液嚢腫とは?

へバーデン結節に関連して、「指に水ぶくれのようなものができた」という声があがることがあります。これは、実際には水疱ではなく「粘液嚢腫(ねんえきのうしゅ)」と呼ばれる良性のしこりである場合がほとんどです。

粘液嚢腫は、関節の近くにある関節液(関節を滑らかに動かす液体)が関節外に漏れ出して袋状になったものです。見た目は透明~半透明の水ぶくれのようで、触れるとやや硬めの感触があります。

なぜできるの?

・へバーデン結節による関節の摩耗や変形により、関節内の圧力が高まる
・結果として関節液が漏れ出し、皮膚の下にたまる
・特にDIP関節(指先の関節)で起こりやすい

粘液嚢腫自体は良性ですが、まれに破れて出血や感染を伴うことがあるため、注意が必要です。

水ぶくれ(粘液嚢腫)の対処法と注意点

医療機関を受診すべきタイミング

・触ると強い痛みがある
・大きくなってきた
・赤く腫れている、または熱を持っている
・破れて出血や浸出液が出ている

治療法の一例

・穿刺(せんし)処置:中の液体を針で抜く
・手術:嚢腫の袋自体を取り除く
・ステロイド注射:炎症を抑える

自己処置で針を刺すのは感染リスクが高いため、絶対に避けてください。

へバーデン結節と粘液嚢腫の原因とリスク因子

原因とされる要素

・加齢:関節軟骨のすり減り
・女性ホルモンの低下:閉経前後の女性に多い
・遺伝的要因:親族に同じ症状があると発症リスクが上がる
・過度な手の使用:ピアノ、タイピング、スマホなどの使いすぎ

さらに、関節の退行性変化により、滑液(関節液)の分泌や流れが悪くなると、粘液嚢腫が形成されやすくなると考えられています。

日常生活でできるセルフケア

手指の使いすぎに注意する

負担のかかる動作をなるべく減らしましょう。長時間の手作業は休憩を入れながら行うことが大切です。

温めて血流改善

温湿布や手浴(40℃程度のお湯に手を浸ける)で血流を促進すると、痛みやこわばりの緩和につながります。

関節にやさしいストレッチ

過度な力をかけずに、ゆっくりとしたストレッチで柔軟性を保つようにしましょう。

食生活の見直し

抗炎症作用のある栄養素(オメガ3脂肪酸など)を意識的に摂ることが推奨されます。

まとめ:早めの対処で悪化を防ぐ

へバーデン結節とそれに伴う水ぶくれ(粘液嚢腫)は、加齢や生活習慣に大きく関係しています。見た目の変化だけでなく、痛みや機能低下を引き起こすこともあるため、日々の観察と適切なケアが重要です。

「たかが水ぶくれ」と侮らず、気になる症状がある場合は早めに医療機関に相談し、症状の進行を防ぐようにしましょう。

参考・引用文献

1. Tanaka, T., et al. (2015). “Osteoarthritis of the finger joints: a review.” Journal of Orthopaedic Science, 20(2), 242–248.

2. Wajon, A., Vinycomb, T., Carr, E., et al. (2015). “Surgical treatment for mucous cysts of the fingers.” Cochrane Database of Systematic Reviews, Issue 7.

3. Kalichman, L., & Hunter, D. J. (2007). “Osteoarthritis and hand function: a review.” Current Opinion in Rheumatology, 19(1), 61–65.

更新日:2025/11/21

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