冬は気温が低下し、血管が収縮することで脳血管疾患の発症リスクが高まる時期です。医療従事者としては、脳血管疾患の危険因子や季節的リスクを理解し、患者に適切な予防指導を行うことが重要です。特に運動療法は、生活習慣病の管理や血圧・循環改善に有効であり、適切に取り入れることで再発リスクの低減にもつながります。本コラムでは、冬場の脳血管疾患リスクと運動療法のポイントについて解説します。
冬季に脳血管疾患が増加する要因には、以下の点が挙げられます。
・低温による血管収縮で血圧上昇
・暖房による室内外の温度差で血圧変動
・運動不足による血液循環低下
・冬季の感染症による炎症反応の増加
これらの要因は脳卒中や一過性脳虚血発作(TIA)の発症に影響します。医療従事者は、特に高齢者や高血圧患者、糖尿病患者などのリスク群に注意を払う必要があります。
運動療法は、脳血管疾患の予防や再発防止において重要な手段です。適度な運動は血圧の安定、血管内皮機能の改善、血糖や脂質代謝の改善に寄与します。冬季でも安全に実施できる運動としては、以下のような室内で行える方法があります。
・室内ウォーキングやステッパーを用いた有酸素運動
・ストレッチや軽い筋力トレーニングで循環改善
・呼吸法を取り入れたヨガやピラティス
これらは血流促進だけでなく、寒冷による血圧上昇を抑える効果も期待できます。
冬季は運動中の急激な血圧上昇や心拍数変化によるリスクもあるため、医療従事者は以下の点を患者指導の際に強調する必要があります。
・運動前後の血圧測定
・適度なウォーミングアップ・クールダウン
・室温や服装の調整
・心臓病や高血圧の既往がある場合は運動強度を調整
特に高齢者や慢性疾患患者には、医師・理学療法士と連携して安全に運動療法を行うことが重要です。
運動療法単独ではなく、生活習慣の改善と組み合わせることで、脳血管疾患の予防効果はさらに高まります。
・塩分制限・バランスの良い食事
・十分な睡眠と休養
・室内温度管理による寒暖差の軽減
・適度な有酸素運動と筋力トレーニングの継続
これらを患者に指導することで、冬季における脳血管疾患のリスク低減が期待できます。
冬季は脳血管疾患の発症リスクが高まる時期であり、医療従事者は患者に対して適切な予防指導と運動療法の指導を行うことが重要です。室内での運動療法、生活習慣改善、寒暖差対策を組み合わせることで、患者の健康維持と再発予防に寄与できます。
更新日:2025/11/25

