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「リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算」とは?算定の要件と現場運用で押さえるべき3つのポイント

急性期医療の現場では、患者さんの早期離床、経口摂取の維持、口腔機能の確保などが、収益性だけでなくQOL・ADL維持・転倒予防・誤嚥性肺炎予防など多面的に重要となっています。そうした中で、新たに登場した「リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算」は、リハビリ、栄養管理、口腔管理を多職種で連携して実践する体制を評価するために設けられた加算制度です(※1)。本コラムでは、医療従事者の立場から、この加算の算定要件を整理し、さらに現場で有効に活用するためのポイントを具体的に解説します。

1.「リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算」とは

本加算は、急性期一般病棟において、入院された患者全員に対し、入棟後できるだけ早期にADL(基本的な日常生活動作)や栄養状態、口腔状態について評価し、リハビリテーション、栄養管理、口腔管理を一体的・多職種で進める体制を整備したうえで、計画を作成し、実践を行った場合に、患者1人につき 1日につき120点(改定前の別加算では80点だったとの情報もあります)を算定できるものです(※2)(※3)。

背景には、高齢化や医療機関の入院患者の多様化に伴い、単に医療処置を行うだけでなく、ADL維持・低下予防・口腔機能維持・栄養管理の早期介入が不可欠になってきたという流れがあります(※4)。また、多職種連携(医師・看護師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・管理栄養士・歯科医師等)が効果的であるというエビデンスも増えています。

本制度の特長は、「透析時運動指導等加算」など他の加算と同様に、体制・プロセス・アウトカムを評価対象としている点にあります。例えば、入棟後48時間以内の評価・計画作成、計画作成後14日以内の実践評価、土日・祝日のリハビリ実施体制などが要件として明文化されています(※1)(※2)。

2.算定要件:整理と現場向けポイント

以下では、本加算の算定にあたって必要な主な要件を整理し、現場運用上の留意点を併せてご紹介します。

対象病棟・対象患者
本加算が対象となるのは、急性期一般入院病棟など「急性期医療を担う病棟」で、「7対1入院基本料」「10対1入院基本料」「急性期一般入院料1〜6」などを届け出ている病棟です。届け出ていない病棟では本加算を算定できません。
対象患者は、当該病棟に入棟した患者全員です。入棟後、できるだけ早期にADL・栄養状態・口腔状態の評価を行い、計画を作成することが要件とされています。
算定期間には制限があり、計画を作成した日から原則14日以内(入棟後48時間を超えて計画を作成した場合は、入棟後3日目を起算日とする)までの期間内で、患者1人につき一連の取組を評価して算定できます。

多職種配置・研修要件
医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、管理栄養士が「専従」または「専任」で配置されていること、また管理栄養士は「1病棟につき1名」と限定されている場合があります。
医師および各専門職には「リハビリテーション、栄養管理、口腔管理に係る研修を修了していること」が求められます。例えば、医師には「リハビリテーション医療に関する3年以上の経験」があること等が記載されています。
土日・祝日もリハビリテーションを実施できる体制が望ましいという要件もあり、実務上この点が障壁となっているという報告もあります。

評価・記録・体制維持
入棟後48時間以内を目安に、ADL・栄養状態・口腔状態の評価を行い、計画を作成すること。
作成された計画に基づき、多職種で定期的にカンファレンスを開催し、介入内容・実施状況・結果をモニタリング・記録する体制が必要です。
アウトカム指標として、退院時または転棟時におけるADL(例えばBI=Barthel Index)低下率が一定以下であることなどの達成基準も設けられています(例:低下率3%未満)。

3.現場で活用するための3つのポイント

算定要件をクリアすることだけでなく、現場においてこの加算を「使える仕組み」として活用するためには、次の3つのポイントがカギとなります。

ポイント1:多職種連携体制を明確にする
本加算の本質は、リハビリ・栄養・口腔という3つの領域を連携させて入院早期から介入を行うことです。
医師・看護師・理学療法士等・言語聴覚士・管理栄養士・歯科医師(または連携歯科)らの役割分担を明文化する。
入棟直後(可能なら入棟日または翌日以内)に「ADL・栄養・口腔」の初期評価を行い、その後48時間以内に計画を作成できるよう、病棟・リハ部門・栄養部・歯科との動線を整備する。
土日・祝日にも介入可能な体制を検討すること。実際に届出率が低い施設では「休日のリハビリ提供が平日の8割以上」という要件を満たせないことが取得障壁となっています。

ポイント2:早期から介入する運用を設計する
入棟直後に栄養状態と口腔状態を評価し、リハビリ・栄養・口腔それぞれで介入が必要か判定する。
計画は「その日から始める」内容とし、運動プログラム、栄養補助、口腔ケアなどを盛り込む。
少なくとも計画作成から14日以内の介入実施を目指す。

ポイント3:算定運用と持続可能な体制を確立する
計画書・評価表・カンファレンス記録・実施記録を標準化する。
定期的にアウトカムを評価し、多職種で改善点を共有する。
算定を目的にせず、患者価値を重視した体制づくりを行う。
取得率が低い背景(職員配置・休日体制・記録負担)を事前に整理する。

4.まとめ

「リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算」は、急性期入院患者の早期からのADL維持・向上を目的に、リハビリ・栄養・口腔という3つの医療領域を多職種で連携して推進する体制を評価する加算です。算定を考える際には、対象病棟・職種配置・研修要件・評価・記録・介入プロセスという多角的な要件を丁寧に理解することが不可欠です。

現場で成功させるためには、「多職種連携体制を形にする」「早期介入を設計する」「算定を見据えた運用ワークフローを構築する」という3つのポイントを押さえることが重要です。医療従事者として、日々のケアの中でこの制度を活用し、患者さんの機能維持・生活の質向上に向けた取り組みを推進していきましょう。

参考資料

1. 厚生労働省「令和6年度診療報酬改定の概要」
https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001251539.pdf
2. PT OT ST.NET「リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算*概要」
https://www.pt-ot-st.net/contents4/medical-treatment-reiwa-6/department/2237
3. 看護師向け特集
https://www.almediaweb.jp/expert/feature/2406/index03.html
4. 臨床医学情報サイト
https://shirobon.net/medicalfee/latest/ika/r06_ika/r06i_ch1/r06i1_pa2/r06i122_A233.html
5. 日本栄養士会
https://www.dietitian.or.jp/data/medical-fee/r06/

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