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医療法人社団八千代会
メリィホスピタル

2022年6月取材【アーカイブ配信】

回復期病棟・地域包括ケア・通所リハビリ・メディカルフィットネスと、多様な部門で17台のG-TESを運用

ー施設の特徴

 メリィホスピタルは、回復期リハビリテーション病棟、地域包括ケア病棟、緩和ケア病棟の3つの機能を持った複合病院です。全199床のうち102床が回復期病棟であり、主にリハビリテーションが中心となっています。
 地域での主な役割として、他の救急の病院から紹介を受けて、その後のフォローを担っています。当院の上層階には医療と機能回復のサービス付き高齢者向け住宅「メリィデイズ」という在宅施設があります。メリィデイズは医療的ケアや重度介護を必要とする方が多いことが特徴です。
 また、メリィホスピタル退院後、メリィデイズに入居された方の多くは、当院の通所リハビリテーションを利用されています。1つの建物にメリィホスピタルとメリィデイズが入ることで、病院と住まいが一体となった複合施設になっていることが一番の特徴です。

ー各部門でのB-SESの導入について

 医療部門のメリィホスピタルでは約10台。基本的には102床ある回復期リハビリテーション病棟で8~9台、50床ある地域包括ケア病棟で1~2台使用しています。回復期病棟にはリハビリテーション室があり、必要に応じて病棟に移動させて対応しています。

 通所リハビリテーションでは、回復期リハビリテーションセンターのリハビリスペースを利用し、1~2時間の短時間の通所リハビリを行っています。B-SESの利用台数は、4~5台です。
 通所リハビリテーションのデイは、1回が1~2時間で、午前中のみで2回展開しています。1回は約15~20名で、B-SESを1人20分程度行っています。
 それ以外の施設では、メディカルフィットネスで2台使用しています。メディカルフィットネスは医療や介護の保険ではなく、健康な方が利用する施設になります。
 現在のB-SESの運用は、回復期病棟、地域包括ケア、通所リハビリテーションと、このメディカルフィットネスということになります。

回復期から生活期まで、B-SESで運動量を確保し他との差別化

ーB-SES導入の背景

 2018年の開院時より、主に回復期リハビリテーション病棟での使用を考えて導入しました。開業時の導入は回復期病棟に7台、メディカルフィットネスに3台の合計10台です。
 それまでのリハビリはマッサージや徒手によるもので、運動量があまり確保できないという状況がありました。そこでの課題は、回復期リハビリテーション病棟から退院されて生活期になったときに、運動量がかなり減ってしまうということです。
 そのため開院に際しては、入院中からしっかり運動ができること、重症の方でも早い段階から運動量を確保しながら全体的な生活を改善していく新しい回復期リハビリテーション病棟を作りたいという想いがありました。その実現のためにB-SESという手段を使って、他の回復期リハビリテーション病棟との

差別化を図りたいというのが導入の背景です。
 これは、介護施設や療養病院という介護系から始まった生活期に強い法人グループだからこそ、生活期であっても継続して体力や機能を維持していきたいという考えです。

ー主な利用者と目指す効果

 回復期リハビリテーション病棟では、脳血管障害や脊髄損傷、あとは運動器の骨折や関節症の術後、肺炎後の廃用症候群などが主なため、 B-SESは基本的に回復期リハビリテーションに入ってくる方を対象に、使用しています。
 ただ、その中でも患者特性で、例えばリハビリを拒否してなかなか取り組んでいただけない患者様でも、B-SESはやるという方もいらっしゃるので、そういった方への利用も行っています。基本的なリハビリを行う個別リハビリテーションに加えて、B-SESによる筋肥大や循環の促進などの相乗効果も目的として行っています。
 地域包括ケア病棟では、自宅に住んでいても徐々に筋力が低下し、食事も食べられなくなって入院という方がおられます。その方たちの栄養状態を評価しながら運動を組み合わせてB-SESを利用しています。
 また当院では、重症度の高い方が多く入院されていることもあり、自発的な筋力トレーニングが困難な場合でもB-SESなら利用できるというのは大きな利点かなと思います。
 地域包括ケア病棟の特徴としては、入院期間やリハビリの時間が回復期に比べて短いため、短期間で効率的なリハビリが求められます。そのため、なかなか起きられない方や、逆に起きて運動量を増やしたい方にB-SESを使用しています。
 基本的には運動療法や、動作が中心になりますが、その中でもあまり動くことができない、起き上がれないといった重症例に対してB-SESをプラス補助的に使用するような流れになります。

 それと当院全体の話になるのですが、病院、施設に限らず入院されている平均年齢が80歳代と高齢者が多いのが特徴で、長く運動ができないという課題があります。B-SESを使うと、そうした方々でも長く筋トレができるということもあります。

ー通所リハビリテーションでの利用について

 病院を退院され自宅復帰された方や、メリィホスピタルの病院の上にあるメリィデイズに入られている方々は、通所リハビリテーションを利用されることになっています。
 目的としては、筋力強化による日常生活動作能力の安定だったり、重症度の高い方は筋緊張を緩和し可動域の維持を行うなどです。また、痛みとかでなかなか運動ができないという方にも
B-SESを利用しています。
 基本的には高齢で体力レベルが低下した場合や、筋力トレーニングが難しい、疼痛があって動けない、といった対象の方をピックアップして使用しています。

ーメリィデイズの入居者様について

 メリィデイズの入居者様は、大体200名ぐらいです。入居されている方々では、リハビリをとにかくやってほしいと、望まれる方が大勢いらっしゃいます。
 その方に対しては、介護保険でのサービスである訪問リハビリと通所リハビリを展開しています。その中で長時間離床できる方に関しては、通所リハビリテーションに来ていただいています。長時間の離床が困難な方に対しては、訪問リハビリを利用していただいています。

ーメディカルフィットネスでの利用について

 メディカルフィットネスに来られる方は、生活は自立されているので、体力の向上と筋力の維持。どちらかというと生活の中での健康増進という意味合いがすごく強いです。
 動けない人が使うというよりは、もともと運動に興味があって、運動量をさらに促進したい方や、パワーリハビリテーションのトレーニングマシンにプラスして、もっとやりたいという方々がB-SESを使っている傾向があります。動ける方が、パワーリハビリテーションにプラスもうちょっと運動量を確保するというニュアンスですね。

治療効果の手応えから増床に合わせてG-TESを増設

ー様々な部門で複数台を導入した理由

 純粋に複数台あったほうが、同時に様々な患者様に治療を提供できるということがあります。
 回復期リハビリテーション病棟となると、リハビリをするスタッフがすごく多い病棟になるので、1、2台しかないと、その時間帯に1人、2人の患者様にしか使用できません。
 同じ時間帯に20~30名ぐらいの患者様を療法士が1対1でやっていくので、やはり複数台必要で、とにかく提供を多くしたいということがあります。常に療法士がG-TESを載せた専用のカートで病棟をぐるぐる回っているようなイメージですね。
 高齢者が多いので、とにかく運動しないといけないという方たちがほとんどという状況下で、B-SESは禁忌が少ないため、とても幅広く使えるとスタッフからも評価が高いです。
 回復期リハビリテーション病棟の中でも、50代や40代の若い方たちがたくさん入院される病棟もあれば、当院のように80代が多く来られる回復期病棟もあります。世代的に当院は運動量を確保しないといけない高齢者が多いので、ほとんどの方が使わないといけないぐらい運動が少ない状況です。利用対象者がいろいろ制限なく使えるというのは、当院のニーズにも合っています。

ー当初10台から現在の台数へ増設の経緯

 開設当時の回復期リハビリテーションは49床でした。それが102床と倍ぐらいになったので、純粋に対象者が増えたという点が大きくあります。
 B-SESを使った、他と違う回復期リハビリテーション病棟の差別化の方針は変えずに、そのままそのかたちで行きたいと考えています。もし使ってみて、ちょっと違う方向に行くようでしたら導入しなかったかもしれませんが、効果を実感していますので病床に合わせてB-SESの数も、増床と同じく2倍に増設しました。

回復期病棟で効果を実感した患者様が、通所リハビリでもリピート使用を希望

ー利用の現場からの声

 先ほどもお話したように、リハビリはしないけどB-SESならやるという方が結構多いです。リハビリはしないのかと言われたら、そういうわけではないのですが、それぐらいウケがいいです。やはり痛くないし、何というか電気が流れることで治療してもらってる感が、患者様の感覚としてもあるようです。
 患者様から悪い話は出てないですね。もちろん、たまに電気刺激自体があまり得意でない方もいらっしゃいますが、それをやることで、その先ができることもあって、リハビリが進むことを感じられているようです。

 患者様からは「電気やってくれ」という声も結構あります。もちろん、その効果や説明をしっかりさせていただいた上で行うのですが、かといって何か悪い感覚ではなくて。例えば「動かなくても筋肉が付くよ」と言っても、「だからリハビリしなくていい」とはならないですし、非常にそういう意味で私たちもやりやすいところではあるかなと思います。また、リハビリが終わったあとにテレビ見ながら使用という場面も、よくよく見受けられます。そういう意味では、患者様からとてもいい反応が得られているかなと思います。

 通所リハビリテーションでは、回復期病棟で既にB-SESを使用されている方が多いです。退院後も同じような物理療法をやってほしいということから通所リハビリテーションを選ばれる方もいらっしゃいました。

 それから、通所リハビリテーションでは利用台数も限られていますので、「一番に受けたい」と言われたりもします。認知症の方でもそのように印象に残る機器なのかなと驚いています。
 地域包括ケア病棟での使用も通所リハビリテーションと同様で、回復期病棟で利用されていた患者様から「継続してやりたいな」というようなお声が出て、だんだん事業所ができるたびに拡散していったというようなかたちですね。まずは回復期のリハビリ対象の方から始めてみて、安全性や効果を検証した上で、地域包括ケア病棟にも使えそうだなと広げていきました。
 今、本当に高齢の方、また運動量が低下されている方が、認知症も含めて非常に多いと思うんですよ。そういった中で、まさしくB-SESの「運動できないをなくす」というキャッチフレーズのイメージですね。

ー施設としての利用メリット

 当院はB-SESを数多く導入し、効果的に筋力増強訓練ができるというところが一番です。それが施設の特徴として、しっかりと謳うことができるメリットです。

ー患者様が実感される効果

 医療部門では、やはり運動ができる方に関しては筋力が上がってるなと感じます。ただ、やはり重症度の高い方の筋力が付いて、“何か”がというところが私たちの課題でもあります。
 回復期に個別リハビリ、動作練習っていうところは、しっかり私たちが付いてやる。だけど筋力は、プラスアルファの効果としてB-SESを行うように、複合効果として運動できているから筋力も付く。体力も付くからさらにB-SESも追加できて、もっと良くなるといったいい循環。そういうものはあるのかなと実感しています。

 通所リハビリテーションの利用者様は、週に2~3回来られるのですが、足の筋肉量の肥大だったり、あとは生活動作能力の向上というところに効果が見られています。他には転倒が多かった方が、部屋での転倒が少なくなったという話も聞いています。
 利用者様からは「電気ができるんですか」と、過去何回も聞かれたことがありますね。例えば、もう診療報酬上、リハビリの日数が制限をされる患者様から、「それでも電気はできますか」という問い合わせはやはりあります。
 そういう意味では、当院のホームページなどをご覧になった方などは、入院される前にそうした問い合わせがあり、ご家族様の反応があったり、県外の方が退院後に「B-SESをしにそちらまで行っていいか」ということもありました。

ーG-TESの使用時間や運用について

 基本的には、筋肥大の廃用モードで20分というのが一つの目安です。病院全体としてそこは共通認識で行っています。
 やはり当院のリハビリテーション医師がB-SESについて理解しているので、相談をしながら運用しています。患者様の負荷量を少し軽減したいときには、代謝モードを使ったりしています。
 大半の方々の目的は、どちらかというとやはり廃用を予防したりだとか、筋力アップですね。その他の目的によっては、重度の心不全の方だったら、運動をプラスで提受したいときに、有酸素運動として代謝モードを使っています。

ー診療報酬や利用料について

 病院で現状、B-SESは疾患別リハビリテーションの中でさせていただいております。地域包括ケア病棟に関しては、病院・病棟の機能上、疾患別リハビリが出ない方にも私たちとしては、やはり関わりを持たせて頂いているので、医師の指示はもちろんありますが、疾患別リハビリテーションが出てない方にもサービスでB-SESを行っています。それも当院の地域包括ケア病棟の特徴でもあるかなと思います。
 通所リハビリテーションでは、通所の介護の範囲の中で行っています。機械やトレーニングマシンを使うメディカルフィットネスは会費制になっていますが、B-SESを使われる方には別途で、1回の使用に付き500円を徴収させていただいています。最初の1~2回は無料でお試しいただいて、効果を実感された方が、その都度お金を払うというかたちです。
 1度使用して効果を実感された方は毎回フィットネスに来られる度に実施されています。