お正月は日本人にとって特別な時期です。家族や親戚との集まり、美味しいごちそう、初詣や旅行など、普段とは違った生活スタイルを送る方が多いのではないでしょうか。しかし、楽しさの一方で「正月疲れ」を感じる人も少なくありません。年末年始の生活リズムの乱れや食生活の偏りは、心身の調子に大きく影響を与えます。本コラムでは、正月疲れの主な原因や症状、そして回復方法について詳しくご紹介します。
「正月疲れ」とは、年末年始の休暇が終わった頃に感じる体や心の疲労感、だるさ、集中力の低下などの不調を指す俗称です。医学的な病名ではありませんが、多くの人が経験する季節性の体調不良です。
夜更かしや遅い起床が続くと、体内時計(概日リズム)が乱れ、自律神経のバランスが崩れやすくなります。研究でも、概日リズムの乱れは睡眠の質の低下や疲労感の増加と関連していることが報告されています。
おせち料理やお酒、甘いお菓子など、高カロリーで糖質や脂質の多い食事が続くと、胃腸に負担がかかります。食べ過ぎや飲み過ぎによる消化器系の疲労も正月疲れの一因です。
親戚付き合いや来客対応は楽しい反面、心理的ストレスとなる場合があります。心理的ストレスは自律神経や免疫系の働きを低下させることが知られており、疲労を強める要因になります。
年末年始は寒さや外出機会の減少により、日常より活動量が減少しがちです。体を動かさないと血流が悪くなり、倦怠感や肩こり、頭痛といった症状が出やすくなります。
正月疲れは単なる「だるさ」だけではありません。代表的な症状には以下のようなものがあります。
・朝起きても疲れが取れていない
・集中力や意欲の低下
・胃もたれや便秘、下痢など消化器症状
・肩こり、頭痛、全身の倦怠感
・気分の落ち込みやイライラ
これらは一時的なものであることが多いですが、長く続く場合は「うつ病」や「自律神経失調症」などの病気が隠れている可能性もあります。症状が強い場合や長引く場合は、医療機関での相談をおすすめします。
では、正月疲れを感じたときにはどのように回復していけばよいのでしょうか。ここでは科学的に有効とされる方法を中心にご紹介します。
体内時計をリセットするためには、朝起きたら太陽の光を浴びることが有効です。朝日を浴びることでメラトニンの分泌が抑えられ、体内時計がリセットされます。また、就寝・起床時間を一定にすることで、睡眠の質を改善できます。
お正月に食べすぎた後は、胃腸を休ませることが大切です。野菜やたんぱく質をバランスよく摂り、油分や糖分の多い食事を控えるようにしましょう。また、発酵食品や食物繊維を意識して摂取すると腸内環境が整い、疲労回復にもつながります。
ウォーキングやストレッチなど、軽い運動は血流を促進し、自律神経のバランスを整える効果があります。ある研究では、軽度から中等度の有酸素運動が疲労感の軽減に効果があると報告されています(Ref: Puetz et al., 2006)。
マインドフルネス瞑想や深呼吸法は、ストレス軽減に有効であることが科学的に示されています。正月疲れの背景には心理的な要因も多いため、心のケアを意識することも大切です。
寝る前にスマートフォンを見ることはブルーライトの影響で睡眠の質を下げます。寝室の環境を整え、就寝前はリラックスできる音楽やアロマを活用するとよいでしょう。
正月疲れを予防するには、日頃から以下の点を意識するとよいでしょう。
・年末年始もできるだけ起床時間を一定に保つ
・食事は「腹八分目」を意識
・適度に体を動かす
・人付き合いも無理をせず、休む時間を確保する
・新年が始まる前に休養日を設ける
「正月疲れ」は誰にでも起こり得る一時的な体調不良ですが、放置すると仕事や日常生活に影響を及ぼす可能性があります。生活リズムの乱れや食べすぎ、運動不足などが主な原因となるため、早めに回復を意識した生活習慣を取り入れることが大切です。正しい知識を持ち、無理せず心身をリフレッシュさせて、新しい1年を健やかにスタートさせましょう。

