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【保存療法と手術療法の違いは?】足首の靭帯損傷に対するリハビリ方法を徹底解説

はじめに

足首の靭帯損傷は、スポーツや日常生活で頻繁に起こる外傷のひとつです。特に前距腓靭帯(Anterior Talofibular Ligament:ATFL)を中心としたI靭帯損傷は、足首の内反捻挫によって生じることが多く、適切な治療とリハビリを行わないと慢性化や再発のリスクが高まります。本コラムでは、足首の靭帯損傷に対するリハビリ方法について、保存療法と手術療法の違い、早期離床の重要性、そしてエビデンスに基づいたリハビリの進め方を詳しく解説します。

足首の靭帯損傷とは?

足首には複数の靭帯が存在しますが、特に損傷しやすいのが外側の靭帯群です。中でも前距腓靭帯(ATFL)は、内反捻挫時に最も損傷されやすい靭帯です。I靭帯損傷とは、ATFL単独の損傷を指し、軽度から中等度の損傷に分類されます。

靭帯損傷の重症度は以下のように分類されます。

・Grade I:靭帯の微細損傷(伸張)
・Grade II:部分断裂
・Grade III:完全断裂(ATFL+CFL損傷)

保存療法と手術療法の違い

保存療法(Early Weight-Bearing Cast)

保存療法では、受傷後すぐにキャスト固定を行い、早期荷重歩行を許可する方法が注目されています。眞田らの研究では、Grade IIIの外側靭帯損傷に対して2週間のキャスト固定後、段階的なリハビリを行うことで、距骨傾斜角(TTA)が有意に改善したと報告されています(*1)。

・受傷時TTA:15.5° ± 6.0°
・治癒時TTA:1.5° ± 2.3°(p=6.0×10⁻¹⁰)

この結果は、保存療法でも十分な関節安定性が得られることを示しています。

手術療法と早期運動療法

一方、帝京大学の研究では、靭帯縫合術後に早期運動療法を導入した群(S群)が、従来の保存療法群(F群)よりもスポーツ復帰までの期間が短縮されたと報告されています(*2)。

・S群:平均10.1週で復帰
・F群:平均16.4週で復帰(p<0.0001)

また、JSSFスコアや距骨傾斜角の改善も両群で良好でしたが、S群の方が不安定性の残存率が低かったとされています。

リハビリの進め方と注意点

初期段階(受傷〜2週)

RICE処置(Rest, Ice, Compression, Elevation)
・キャストまたはサポーターによる固定
・痛みが許容される範囲での荷重歩行開始

中期段階(2〜6週)

・可動域訓練(背屈・底屈運動)
・筋力トレーニング(腓骨筋・足底筋)
・バランストレーニング(片足立ち、バランスボード)

後期段階(6週以降)

・アジリティートレーニング
・スポーツ特異的動作の導入
・再発予防のためのチェックポイント(安定性、筋力、痛みの有無)

早期離床の重要性

靭帯損傷後の早期離床は、関節周囲筋の萎縮や固有感覚の低下を防ぐために非常に重要です。帝京大学の研究でも、術後翌日からの自動運動開始が、早期復帰に寄与したとされています(*2)。

また、保存療法でも、キャスト固定中に軽度背屈位での固定を行うことで、ATFLの緊張を最小限に抑え、早期荷重歩行が可能となります(*1)。

再発予防のポイント

・筋力とバランス感覚の回復が不十分なまま復帰すると、再発のリスクが高まります。
・復帰判断は、医師や理学療法士による評価をもとに慎重に行う必要があります。
・特にジャンプや方向転換の多い競技では、足首の安定性が重要です。

まとめ

足首のI靭帯損傷に対するリハビリは、保存療法・手術療法のいずれにおいても、早期離床と段階的な運動療法が回復の鍵となります。エビデンスに基づいたリハビリを実践することで、再発を防ぎ、より早期のスポーツ復帰が可能となります。医療従事者としては、患者の状態に応じた適切な治療選択と、リハビリの進行管理が求められます。今後も研究成果を活用し、より質の高い医療提供を目指していきましょう。

参考文献

1. 眞田高起(日本臨床スポーツ医学会誌 Vol.29 No.2,2021)新鮮足関節外側靱帯損傷に対する保存治療
https://rinspo.jp/journal/2020/files/29-2/268-273.pdf

2. 印南 健(帝京大学スポーツ医療研究 第2巻:1−4,2010) 足関節外側靱帯損傷術後における早期運動療法の治療効果
https://appsv.main.teikyo-u.ac.jp/tosho/kinnami2.pdf

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