リハビリテーション医療において、回復期での運動介入は患者の機能回復や在宅復帰を目指すうえで中心的な役割を果たします。しかし、その効果を 急性期からの早期運動介入 の知見とつなげて理解することが、より質の高い介入設計には欠かせません。
急性期から早期に運動介入を行うことは、身体機能の低下予防やADL向上につながるとする研究が多数報告されており、そこから得られた学びを回復期リハビリに応用することが重要です。本コラムでは、PubMed等で報告されている急性期の早期運動介入のエビデンスを踏まえながら、回復期リハビリにおける運動介入の重要性と効果についてご紹介します。
急性期病院における早期の運動介入(early mobilization)は、発症後24〜48時間以内にベッドからの離床や歩行練習などを行うことを指し、脳卒中患者の機能的アウトカム改善に寄与する可能性が示されています。システマティックレビューでは、急性期の早期運動介入は機能的能力や合併症の減少に関連し、座位・立位・歩行といった活動を促すことで回復につながると報告されています。
また、急性期の系統的レビュー・メタ分析では、早期運動介入は入院期間の短縮や日常生活動作スコア(Barthel Index)などの改善に関連しているという結果も示されています(※1)。
急性期の運動介入が機能的能力向上に寄与するという知見は、回復期リハビリにおける運動介入の設計にインスピレーションを与えます。急性期の患者がベッド上を越えて身体活動を開始し、座位や歩行などを行うことが機能改善につながるという流れは、回復期リハビリでも同様に、可能な限り早期に運動プログラムを開始することの臨床的意義を示唆しています。
具体的には、回復期における運動介入は、急性期から引き継いだ患者の運動履歴や機能レベルに基づき、段階的に負荷を増しながら進めることが推奨されます。これは、動作能力・筋力・バランス能力の改善を促進し、退院後の生活動作(ADL)改善や在宅復帰の可能性を高めるためにも重要です。
1)身体機能の改善
回復期リハビリでの運動介入は、急性期の早期運動介入の考え方を引き継ぐことで、身体機能の改善を加速すると考えられます。例えば、座位保持→立位バランス→歩行練習と段階的に負荷を増やすことで、患者の自立度向上につながります。
急性期の早期運動介入研究では、座位・立位・歩行などの活動を促す介入が多くの機能的アウトカム改善に寄与しており、その考え方を回復期に応用することで、ADL改善や歩行能力の向上が期待できると考えられます(※1)
2)廃用症候群予防と多職種連携
急性期からの早期介入が廃用症候群予防に有効との報告があるように、回復期でも運動介入を適切なタイミングで行うことが、筋力低下・バランス不全・関節拘縮などの予防に寄与します。また、理学療法士、作業療法士、看護師、医師など多職種が連携し、患者個々の状態に応じた運動介入戦略を設計することが重要です。
以下の点を押さえることで、急性期から回復期への流れがスムーズになります:
◆ 個別評価に基づく運動処方
患者の急性期からの経過、ADLレベル、筋力・バランス能力を評価し、段階的負荷設計を行います。急性期での運動介入を踏まえることで、患者にとって無理なく機能改善に導く運動プログラムを作成できます。
◆ 早期から段階的な負荷増加
回復期では、座位動作→立位練習→歩行練習というように負荷を増加させていくことが重要です。急性期からの反復動作や筋活動を元に、安全性を確保しつつ進めることが大切です。
急性期の 早期運動介入 は、座位や立位、歩行といった活動を可能な限り早い段階で取り入れることで、機能的能力やADL改善に寄与するエビデンスが示されています(※1)
これらの知見は、回復期リハビリ における運動介入戦略にも応用が可能です。急性期の介入効果を引き継ぎながら、段階的に運動負荷を調整していくことで、患者の機能回復や退院後の自立生活の実現に結びつけることが期待されます。
今後は、回復期リハビリ独自のランダム化比較試験や質の高い研究が蓄積されることで、計画的な運動介入プロトコールのさらなる標準化が期待されます。
※1)Early mobilization in acute stroke phase: a systematic review,Jéssica Mariana de Aquino Miranda, et al. Top Stroke Rehabilitation: 2023 Mar;30(2):157-168.
https://doi.org/ 10.1080/10749357.2021.2008595
掲載日:2026/4/2

