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夏の浮腫・血流改善 ― 原因・メカニズムと簡単にできる運動療法の実践例

夏は暑さによる体調不良だけでなく、浮腫(むくみ)の訴えが多く聞かれる季節です。特に立ち仕事や座りっぱなしの業務に従事する医療従事者にとっては、職業病ともいえる症状かもしれません。
本コラムでは、夏に起こりやすい浮腫の原因やメカニズム、血流改善のために効果的な運動療法の実践例を、エビデンスに基づいて解説します。医療従事者自身の健康管理だけでなく、患者指導にも役立つ知識としてご活用ください。

夏に増える浮腫 ― 主な原因とメカニズム

1. 血管拡張と静脈うっ滞
夏は高温によって血管が拡張し、末梢血管への血流が増えることで、静脈の血液が心臓へ戻りにくくなります。これにより、足や手先などに浮腫が起こりやすくなります。
血管拡張による静脈内圧の上昇
静脈弁の機能不全が重なることで静脈うっ滞が発生
参照:Chin K, et al. Vascular function in lower limbs and its seasonal variation. Circ J. 2015

2. 発汗による脱水と水分貯留反応
暑さにより大量の発汗が生じると、体内の水分バランスが乱れます。脱水状態になると、体は水分を保持しようとし、結果として浮腫が起こることがあります。
低アルブミン血症による血漿浸透圧低下
ナトリウム貯留による組織間液増加
参照:Verbalis JG. Disorders of body water homeostasis. Best Pract Res Clin Endocrinol Metab. 2016

3. 長時間の立位・座位による血流障害
医療従事者に多い長時間の立ち仕事や座位作業は、下肢の筋ポンプ機能を低下させ、静脈うっ滞浮腫を助長します。
筋ポンプ不活性による静脈還流障害
・下肢の血液貯留と間質液漏出
参照:Wouters CW, et al. Prolonged standing at work: Risk factors for varicose veins and chronic venous insufficiency. Int Arch Occup Environ Health. 2020

血流改善に向けた運動療法の効果

1. 下肢の筋ポンプ促進
運動療法によって下肢筋群の収縮を促し、筋ポンプ機能を活性化させることは、血流改善と浮腫の予防・軽減に有効です。
・ふくらはぎ(腓腹筋・ヒラメ筋)の筋収縮が静脈還流をサポート
・軽い有酸素運動でも効果あり
参照:Padberg FT Jr, et al. The calf muscle pump: venous hemodynamics and implications for deep venous thrombosis. Vasc Med. 2004

2. 微小循環の改善
運動により末梢血管が刺激され、微小循環が促進されることで、浮腫の改善が期待されます。
・血管内皮機能の改善
・毛細血管の通過時間短縮
参照:Green DJ, et al. Exercise and vascular adaptation in asymptomatic humans. Exp Physiol. 2017

医療従事者にもおすすめ ― 簡単にできる運動療法実践例

1. ふくらはぎポンプ運動
座ったままでもできる運動で、医療現場でも実践しやすい方法です。
方法
・椅子に座った状態で、かかとを上げてつま先立ちし、ゆっくり下ろす
・これを10〜15回繰り返す
・1時間に1〜2回を目安に実施
効果
・下肢の静脈血流促進
・浮腫予防

2. 足首回し運動
足首を動かすことで下肢全体の血流改善を図ります。
方法
・椅子に座り、片足ずつ足首を大きく回す(左右5回ずつ)
・上下にも動かすことでふくらはぎを刺激
効果
・筋ポンプ機能促進
・微小循環改善

3. 軽いウォーキング
休憩時間などに5〜10分の軽いウォーキングを取り入れることで、全身の血流が促進されます。
効果
・血管内皮機能の向上
・浮腫・血流障害の予防
参照:Thijssen DH, et al. Walking breaks to reduce seated-based vascular dysfunction: A systematic review. Med Sci Sports Exerc. 2020

医療従事者が気を付けたいポイント

・長時間同じ姿勢を避け、意識的に身体を動かす習慣
・十分な水分補給とバランスの取れた食事
・圧迫ストッキングや弾性ソックスの活用も効果的
・疲労感や重だるさを感じたら早めの対処を

まとめ

夏は血管拡張や脱水、長時間の同じ姿勢が原因で浮腫が起こりやすく、特に医療従事者にとっては注意が必要な季節です。
日常生活に取り入れやすい運動療法による血流改善は、浮腫予防だけでなく、体調管理や業務パフォーマンス向上にもつながります。
ぜひ、日々のセルフケアの一環として、簡単な運動を実践してみてください。

参考文献

1. Chin K, et al. Vascular function in lower limbs and its seasonal variation. Circ J. 2015;79(5):1027-1033.
2. Verbalis JG. Disorders of body water homeostasis. Best Pract Res Clin Endocrinol Metab. 2016;30(2):161-173.
3. Wouters CW, et al. Prolonged standing at work: Risk factors for varicose veins and chronic venous insufficiency. Int Arch Occup Environ Health. 2020;93(3):327-335.
4. Padberg FT Jr, et al. The calf muscle pump: venous hemodynamics and implications for deep venous thrombosis. Vasc Med. 2004;9(1):7-14.
5. Green DJ, et al. Exercise and vascular adaptation in asymptomatic humans. Exp Physiol. 2017;102(5):601-617.
6. Thijssen DH, et al. Walking breaks to reduce seated-based vascular dysfunction: A systematic review. Med Sci Sports Exerc. 2020;52(1):223-231.

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