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瓶のフタが開けにくいのは母指CM関節症かも?初期症状と予防方法を解説

はじめに

毎日の家事や仕事、スマートフォン操作などで親指を酷使していませんか?
「瓶のフタが開けにくい」「つまむと親指の付け根が痛い」と感じたら、それは母指CM関節症の初期症状かもしれません。
母指CM関節症は、特に40代以降の女性に多いとされる手の変形性関節症の一つです。進行すると手の機能に大きく影響し、生活の質(QOL)を下げてしまう可能性があります。
本コラムでは、母指CM関節症の初期症状や予防方法をわかりやすく解説し、働く女性が日常生活で実践できるセルフケアのポイントをご紹介します。

母指CM関節症とは?

母指CM関節症とは、親指の付け根にある母指手根中手関節(Carpometacarpal joint of the thumb, CM関節)に変形や炎症が起こる疾患です。
この関節は、瓶を開ける、ペンを持つ、スマホを操作するなど、つまむ・握る動作に深く関わります。そのため酷使されやすく、軟骨がすり減りやすい部位です。
疫学的には、特に女性に多く、更年期以降に発症リスクが高まります。ある研究では、女性の約15~25%が母指CM関節症を経験すると報告されています。

母指CM関節症の初期症状

母指CM関節症は進行性の疾患ですが、初期症状を見逃さず対応すれば進行を遅らせることが可能です。

初期に見られる症状
・親指の付け根(母指CM関節)に違和感や軽い痛み
・ビンやペットボトルのフタを開けるときに力が入りにくい
・親指をひねるような動きで痛みを感じる
・親指の付け根を押すと軽い圧痛がある

これらは単なる疲労と勘違いしやすいのですが、繰り返し現れるようなら注意が必要です。

母指CM関節症と女性の関係

女性に多い理由にはいくつかの要因があります。

1. ホルモンの影響
閉経後のエストロゲン低下が関節軟骨や靭帯の変性に関与していると考えられています。

2. 生活習慣の影響
料理や掃除など家事動作、長時間のスマートフォン操作やパソコン業務で親指に負担が集中します。

3. 解剖学的な特徴
母指CM関節は saddle joint(鞍関節)と呼ばれる独特の形状をしており、自由度が高い分、不安定で摩耗しやすいのです。

予防のポイントとセルフケア方法

1. 親指の使い方を工夫する
・フタを開けるときは布巾やオープナーを使って負担を分散する
・重い物を持つときは4本の指全体で支え、親指だけに力を集中させない

2. サポーターやテーピングの活用
市販の母指サポーターで関節を安定させると、痛みが軽減されます。研究でも、装具療法は母指CM関節症の保存的治療として有効と報告されています。

3. 温熱療法
温めることで血流を促進し、痛みを和らげる効果が期待できます。お湯に手を浸したり、蒸しタオルを当てるのもおすすめです。

4. 筋力強化トレーニング
母指周囲の筋肉を鍛えると関節への負担が軽減されます。
例:輪ゴムを指にかけて開く運動を繰り返す。

5. 適度な休息
長時間同じ作業を続けると炎症が悪化します。1時間ごとに手を休める習慣をつけましょう。

医療機関を受診すべきサイン

セルフケアを続けても改善が見られない場合や、以下のような症状がある場合は整形外科の受診をおすすめします。
・安静にしても強い痛みが続く
・親指の付け根が腫れて変形してきた
・物をつまむ動作が困難になってきた

医師の診断により、消炎鎮痛薬の処方、関節注射、装具療法、リハビリ、重度の場合は手術療法(関節形成術など)が検討されます。

まとめ

・母指CM関節症は親指の付け根の関節に起こる変形性関節症で、女性に多く見られます。
・初期症状は「親指の付け根の痛み」「つまむ動作のしにくさ」。
・セルフケアとして、サポーター・温熱・筋トレ・休息などが有効です。
・症状が悪化する前に早めに医療機関に相談しましょう。
手の不調を放置せず、日常生活の工夫と早めのケアで、毎日の暮らしを快適に続けていきましょう。

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