最近、指の第一関節(DIP関節)が腫れて痛む、こわばる、関節が変形してきた……そんな症状で悩んでいませんか?その症状は「へバーデン結節」と呼ばれる疾患かもしれません。特に働く世代の女性に多く見られ、家事やパソコン作業、スマートフォンの使用など、日常生活に大きな影響を与えることがあります。
本コラムでは、「へバーデン結節は遺伝するのか?」という疑問に答えながら、発症に関係する因子、予防法やセルフケアについてわかりやすく解説していきます。
へバーデン結節とは、指の第一関節(DIP関節)が変形し、腫れや痛みを伴う変形性関節症の一種です。一般的に40代以降の女性に多く発症し、閉経後に症状が悪化するケースも報告されています。
症状は以下のように進行します:
・初期:関節の腫れや違和感、軽い痛み
・中期:関節がこわばり、動かすと痛みが強まる
・進行期:関節の変形が目立ち、痛みは落ち着くが機能制限が残る
へバーデン結節の発症には遺伝的要因が関与していることが複数の研究で指摘されています。双子を対象とした研究では、遺伝的素因が関節変形性疾患のリスクに影響する可能性が示されています。
特に女性に多くみられる背景には、ホルモン変化(エストロゲンの減少)や遺伝的素因の影響があると考えられています。つまり「家族に同じ症状を持つ人がいる場合、発症リスクが高まる」ことは否定できません。
遺伝的要因に加え、生活習慣も発症リスクに関わります。
・指の酷使:タイピング、スマートフォン操作、手作業の多い職業
・女性ホルモンの影響:閉経後の女性に多いことからエストロゲン低下が関与
・加齢:年齢とともに関節や軟骨の変性が進行
完全に防ぐことは難しいですが、発症リスクを下げ、症状を和らげる方法はあります。
1. 指の負担を減らす
・長時間のタイピングやスマホ操作を避ける
・硬いものを無理に開けない(瓶のフタなど)
・握力を使う作業は補助器具を使用
2. 温熱療法
温めることで血流を改善し、痛みやこわばりを和らげる効果があります。ぬるま湯に手を浸す「温浴」も手軽にできる方法です。
3. ストレッチと軽い運動
関節をやさしく曲げ伸ばしするストレッチは、可動域を保つのに有効です。
ただし無理に動かすと悪化するため、痛みの範囲内で行いましょう。
4. サポーターの活用
夜間や作業時にサポーターを使用することで、関節の安定性を保ち、症状の悪化を防げます。
5. 医師に相談
痛みや変形が進んでいる場合は、整形外科での診断が必要です。薬物療法や関節注射が有効な場合もあります。
研究によれば、女性はへバーデン結節による生活の質(QOL)の低下を訴えるケースが多いと報告されています。
家事や育児、仕事など手を頻繁に使う場面が多い女性にとって、指の痛みや変形は「見た目の悩み」だけでなく「生活への制限」として大きな影響を与えるのです。
へバーデン結節は遺伝的要因と生活習慣が関わる手の関節の変形性疾患です。
完全に予防することは難しいですが、初期症状に気づき、早めにセルフケアや医師の診断を受けることが、進行を抑えるカギとなります。
日々の生活で指にかかる負担を減らし、温熱療法や軽いストレッチを取り入れることが、女性にとって大切なセルフケアです。

