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認知行動療法とは?日常生活に役立つ身近な活用方法5選!【心のセルフケア】

ストレス社会といわれる現代。心の健康を保つために注目されている心理療法のひとつが「認知行動療法(CBT)」です。最近では、専門家による治療だけでなく、一般の方でも日常生活に取り入れられる方法が注目されています。
この記事では、認知行動療法の基礎知識から、気軽にできる活用法までを5つ厳選してご紹介します。科学的な根拠に基づいた安心できる方法ばかりですので、ぜひご自身のメンタルケアに役立ててください。

認知行動療法とは?

認知行動療法(Cognitive Behavioral Therapy:CBT)とは、「考え方(認知)」と「行動」に働きかけることで、ストレスや不安、うつなどの心の不調を改善する心理療法です。
欧米を中心に広く活用されており、日本でも医療現場や企業のメンタルヘルス対策、学校教育など幅広く導入されています。
特徴は、「今ここ」の問題に焦点を当て、思考パターンや行動を変えることで心の状態を整えるという点にあります。認知行動療法は薬に頼らない治療法としても注目されており、副作用がない点もメリットの一つです。

認知行動療法が注目される理由

認知行動療法は以下のような心理的問題に効果があると科学的に証明されています。
・うつ病・不安障害・パニック障害
・PTSD(心的外傷後ストレス障害)
・不眠症
・慢性疼痛
・摂食障害・強迫性障害
2021年のメタアナリシスでは、CBTは薬物療法と同等、またはそれ以上の効果があるとされており、再発防止にも有効とされています。

【実践編】日常生活でできる認知行動療法の活用法5選

1. ネガティブな思考を「記録」してみる

まずは思考を「見える化」することから始めましょう。
紙やスマートフォンに、自分がネガティブになった場面、そこで浮かんだ考え、感情、行動を簡単に記録します。これを「自動思考記録表」と呼びます。

例:
・状況:上司に注意された
・思考:「私はダメな人間だ」
・感情:落ち込み、自己否定
・行動:話すのが怖くなった

書き出すことで、自分の考え方のクセを客観視できるようになります。

2. 「別の見方」を意識してみる

記録した思考に対して、別の角度からの解釈を試みます。
先ほどの例であれば、「上司は自分を見捨てたのではなく、仕事の成長を願って注意してくれたのかもしれない」と考えることができます。
このように「柔軟な思考」を身につけることで、ストレスに強くなれることが研究でも示されています。

3. 小さな成功体験を積む「行動実験」

CBTでは「できない」という思い込みを変えるために、小さなチャレンジを通じて実際に体験してみる「行動実験」があります。
たとえば、「人前で話すのが苦手」と思っている方が、少人数の場で短く話す練習をしてみることで、「意外とうまくできた」といった成功体験が得られ、自信がつきます。
行動を通じて思考が変わることは、CBTの大きなポイントです。

4. 不安や緊張に効く「呼吸法」

CBTでは、身体の反応にも働きかけます。
深呼吸やマインドフルネス呼吸法を取り入れることで、自律神経が整い、不安や焦りが軽減されることが分かっています。
呼吸法の例:
・鼻から4秒かけて吸う
・4秒止める
・口から8秒かけて吐く
これを1分~3分ほど繰り返すだけでも、気持ちが落ち着きやすくなります。

5. スケジュールを立てて「行動の先延ばし」を防ぐ

「やらなきゃと思っているのに、やる気が出ない」「先延ばししてしまう」という方には、「行動活性化」という技法が効果的です。
これは、あらかじめ行動をスケジュールに組み込み、予定通りに実行することで気分を改善する方法です。
行動には「気分を引き上げる効果」があり、研究ではうつ病に対しても有効性が認められています。

認知行動療法を安全に活用するために

今回ご紹介した方法は、セルフケアとして日常に取り入れられる内容ですが、強い不安や抑うつ状態が長く続く場合は、無理せず医療機関を受診してください。
精神科や心療内科では、専門的な認知行動療法を受けることができます。また、最近ではオンラインでのCBTプログラムも普及しつつあります。

まとめ

認知行動療法は、心の「考え方」と「行動」に働きかけることで、私たちのストレスや不安を軽減し、前向きな気持ちを取り戻すサポートをしてくれます。
誰でも取り組める簡単な方法から始めて、ぜひご自身の生活に合った活用法を見つけてください。

参考文献・引用論文

1. Beck, A. T. (1979). Cognitive therapy and the emotional disorders. Penguin.
2. Cuijpers, P. et al. (2021). “The effects of cognitive behavioral therapy for major depressive disorder in adults.” JAMA Psychiatry, 78(4), 389–398.
3. Jacobson, N. S., Martell, C. R., & Dimidjian, S. (1996). “Behavioral activation treatment for depression: Returning to contextual roots.” Clinical Psychology: Science and Practice, 3(3), 255–270.
4. Kabat-Zinn, J. (1990). Full catastrophe living: Using the wisdom of your body and mind to face stress, pain, and illness. Dell.

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