睡眠時無呼吸症候群(SAS)は睡眠中に呼吸が止まってしまう病気です。
SASは「Sleep Apnea Syndrome(スリープ・アプニア・シンドローム)」の頭文字をとったもので、10秒以上の無呼吸が一晩に30回以上ある状態を言います。
現在、SASに悩まされている方が増えているものの、まだ真相は知られていません。
この記事では睡眠時無呼吸症候群(SAS)について詳しく解説していきます。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は10秒以上の気流停止を無呼吸と定義し、その無呼吸状態が7時間の睡眠中に30回以上、もしくは1時間に5回以上ある状態を指します。
症状は病名からもわかるように「無呼吸」状態が頻繁に訪れることです。
睡眠中に無呼吸状態となってしまうこともあって、症状になかなか気付くことができず、検査や治療を受けていない潜在患者が数え切れないほどいると言われています。
睡眠中に無呼吸になってしまう原因は大きく分けて2つあります。
1)閉塞性睡眠時無呼吸タイプ(OSA)
・睡眠中、空気の通り道(上気道)が物理的に狭くなることで呼吸が止まる
2)中枢性睡眠時無呼吸タイプ(CSA)
・呼吸中枢の異常によって呼吸が止まる
7時間の睡眠中に30回以上の無呼吸(10秒以上の呼吸気流の停止)があり、そのいくつかはnon-REM期にも出現するものをSASと定義します。1時間あたりでは、無呼吸回数が5回以上(AI≧5)でSASとみなされます。
※AI(Apnea Index)=無呼吸指数
睡眠1時間あたりの「無呼吸」と「低呼吸」の合計回数をAHI(Apnea Hypopnea Index)=無呼吸低呼吸指数と呼び、この指数によって重症度を分類します。なお、低呼吸(Hypopnea)とは、換気の明らかな低下に加え、動脈血酸素飽和度(SpO2)が3~4%以上低下した状態、もしくは覚醒を伴う状態を指します。
睡眠中、無呼吸が頻繁に起こることで体内の酸素が減少していきます。
これによって心拍数を上げるため中脳や身体にダメージが加わります。結果、日中は強い眠気や倦怠感に悩まされ、集中力が低下するため生活における危険が増します。
SASによる代表的な症状として挙げられるのが「居眠り」です。
特に仕事中・運転中での居眠りは悲惨な結末を生む可能性があります。
なお、1998年に発表された「臨床精神医学」によると、SASによる「運転中の眠気」の経験割合は非SAS患者と比べると、SAS患者で4倍(40.9%)、「居眠り運転」は5倍(28.2%)という恐ろしい結果が出ています。
簡易検査は指先に専用の測定機(体内の酸素飽和度を測定する)を装着し、腕に小型の機器をはめて一晩休む方法です。
なお、入院の必要はなく自宅でも検査できます。
「ポリソムノグラフィー(PSG)」は、簡易検査で陽性と判定された方が行う本検査。
指先の器械をはじめ、次の測定およびセンサーを装着して一晩休みます。
・心電図
・脳波
・鼻や口の気流測定
・腹部の動きなどを見るセンサーの装着
なお、本検査は1泊2日の入院が必要になります。
病院や各施設によっては最新技術を用いた診断を受けることも可能です。
肥満傾向にあると「いびき」をかきやすくなることから、減量することがSASの治療につながります。
ただし、急激な減量が不可能なこともあって、いびきの治療もすぐに達成できません。
CPAP(シーパップ)療法は鼻に専用マスクを着用することで空気を送り出し、喉がふさがらないようにする治療法です。
口腔内装置(マウスピース)療法は睡眠中に喉がふさがらないよう、就寝前にマウスピースをはめる治療法です。
手術はその名のとおり、狭くなってしまう喉の粘膜を切り取って環境を改善する治療法です。
規則正しい生活、栄養バランスの取れた食事、適度な運動など、生活習慣の改善もSASを治療する上で重要になります。
SASは喉や首まわりについた脂肪によって発症しやすくなると言われています。
わずかな体重増加もSASに発展するかもしれないので、肥満予防を心がけましょう。
アルコールは筋肉が弛緩する作用があるため、いびきをかきやすくなります。これが睡眠障害につながる可能性もあるので、お酒はほどほどにしましょう。
口呼吸は鼻呼吸と比較した場合、咽頭が狭くなるので上気道が閉塞しやすくなります。
普段から鼻呼吸を心がければ、十分にSASを予防できます。
自分でできるSAS予防はいくつかあるものの、症状によっては改善できないケースもあります。
このような場合は医師に相談して、確かな治療を行いましょう。
重症度が高い状態で誤ったセルフケアを行ってしまうと、症状が悪化する可能性もありますので注意してください。