「なんだか疲れが取れない」「寝つきが悪い」「イライラしやすい」……そんな不調を感じていませんか？その原因、実は自律神経のバランスが崩れているせいかもしれません。自律神経は、私たちの体の調子を自動的にコントロールしてくれる大切な神経系。その中でも「交感神経」と「副交感神経」は、まるでブレーキとアクセルのような関係にあります。
この記事では、「交感神経」と「副交感神経」の違いをわかりやすく解説しながら、うまく「切り替え」るための具体的な方法をご紹介します。日々のセルフケアに役立つ情報も掲載していますので、ぜひご参考にしてください。
自律神経は、内臓や血管の働き、体温調節、代謝などを無意識にコントロールする神経系です。大きく分けて「交感神経」と「副交感神経」の2つがあり、互いにバランスを取りながら働いています。
・交感神経：心拍数を上げ、血圧を上昇させ、体を「戦闘モード」にする神経。日中の活動時やストレス時に優位になります。
・副交感神経：心拍を落ち着かせ、胃腸の働きを高めるなど、「休息モード」を担う神経。夜間やリラックスしているときに働きます。
この2つの神経がうまく「切り替え」られない状態が続くと、自律神経の乱れによる不調が現れやすくなります。
| 機能 | 交感神経 | 副交感神経 |
|---|---|---|
| 心拍 | 上昇 | 低下 |
| 呼吸 | 速く浅く | ゆっくり深く |
| 消化器系の活動 | 抑制 | 活性化 |
| 血管の収縮 | 促進（血圧上昇） | 弛緩（血圧低下） |
| 主に働く時間帯 | 昼間・緊張時 | 夜間・リラックス時 |
交感神経ばかりが優位になると、常に体が緊張状態となり、疲労がたまりやすくなります。反対に、副交感神経ばかりが優位になりすぎると、やる気が出ず、眠気や倦怠感に悩まされることもあります。
自律神経の乱れが招く症状の例
・睡眠障害（寝つきが悪い、途中で目が覚める）
・胃腸の不調（便秘、下痢、食欲不振）
・頭痛・肩こり・動悸
・イライラ、不安感、集中力低下
交感神経と副交感神経の切り替えをスムーズにするには、日常生活の中で意識的にリラックスできる時間を取り入れることが重要です。以下におすすめの方法をご紹介します。
1. 呼吸法（腹式呼吸）
腹式呼吸は、副交感神経を活性化させる方法として多くの研究でも効果が示されています。
1回5分、ゆっくり息を吸って（4秒）、止めて（2秒）、ゆっくり吐く（6秒）ことを繰り返すだけでOKです。
🧪参考：Russo et al., 2017 “The physiological effects of slow breathing in humans” Front. Hum. Neurosci.
2. 朝の太陽光を浴びる
朝の光を浴びることで、体内時計がリセットされ、交感神経が適度に活性化します。15〜30分ほどの散歩がおすすめです。
3. 寝る前のデジタルデトックス
スマホやパソコンから発せられるブルーライトは交感神経を刺激します。就寝前1時間は画面から離れることで、副交感神経が優位になり、深い眠りにつながります。
4. 運動で自律神経の切り替えスイッチをつくる
軽い運動（ウォーキングやヨガ）は交感神経と副交感神経のバランスを整えるのに有効です。週3回以上の運動習慣が推奨されています。
🧪参考：Michael et al., 2017 “Cardiac autonomic responses to exercise training: a meta-analysis” Med Sci Sports Exerc.
人との関係や仕事への「苦手意識」も交感神経の過剰な興奮の原因になります。意識的にリラックスできる場面をつくる、自分のペースで行動できる環境を整えるなど、心理的ストレスを軽減する工夫も重要です。
交感神経と副交感神経は、体の活動と休息をコントロールする重要な神経です。この2つをうまく「切り替える」ことが、自律神経を整えるカギとなります。呼吸法や生活習慣を見直すことで、誰でも自律神経のバランスを改善することができます。無理のない範囲で、ぜひ今日から実践してみてください。
・Russo MA, et al. (2017). The physiological effects of slow breathing in humans. Frontiers in Human Neuroscience.
・Michael S, et al. (2017). Cardiac autonomic responses to exercise training: a meta-analysis. Medicine & Science in Sports & Exercise.
・Lehrer PM, et al. (2000). Respiratory sinus arrhythmia biofeedback therapy for asthma: a report of 20 unmedicated pediatric cases. Applied Psychophysiology and Biofeedback.
更新日：2025/11/28
