医療従事者は長時間勤務や不規則なシフトの中で、身体的な負担が非常に大きい職種です。特に長時間にわたる立ち仕事や同じ姿勢を続けることは、筋骨格系トラブルのリスクを高め、腰痛や肩こり、手首の痛みなど様々な症状を引き起こします。
本コラムでは、医療従事者自身が健康を維持するために知っておきたい、長時間勤務に伴う筋骨格系トラブルの原因と、効果的なストレッチおよび姿勢改善法について、エビデンスに基づいて解説します。
医療従事者の筋骨格系トラブルは非常に一般的で、腰痛は職業病ともいえるほど多く報告されています。
長時間同じ姿勢でいることや過度の身体的負担は、筋肉の緊張や血流障害を引き起こし、筋骨格系の痛みや炎症につながります。
また、夜勤やシフト勤務による疲労蓄積も症状の悪化要因です。
・不良姿勢
長時間のデスクワークや立ち仕事により、背中や腰、首に負担がかかります。特に猫背や前傾姿勢は、筋肉や関節に過剰なストレスを与えます。
・筋力低下・柔軟性の減少
身体のアンバランスや筋力低下は姿勢不良を助長し、トラブルの温床となります。
・休息不足・疲労蓄積
十分な休息が取れない環境は、回復力を低下させ筋骨格系トラブルを長引かせます。
適切なストレッチは、筋肉の緊張緩和と血流改善に効果的であり、筋骨格系トラブルの軽減に寄与します。
・肩甲骨周囲のストレッチ
肩こりや首の痛みの緩和に有効です。肩を回す、肩甲骨を寄せる動作を取り入れましょう。
・胸郭のストレッチ
長時間の前傾姿勢で硬くなりやすい胸の筋肉を伸ばすことで、姿勢改善を促します。
・腰背部のストレッチ
腰痛の予防・改善に役立ちます。前屈や腰回し運動を日常に取り入れましょう。
ストレッチの実施タイミング
勤務中の休憩時間や、勤務開始前後に数分間行うことが推奨されます。
・正しい立位姿勢
頭からかかとまでが一直線になるよう意識し、骨盤を立てて腹筋に力を入れます。
・座位姿勢の注意点
骨盤を立てて座り、背もたれを使いすぎないこと。パソコン作業時はモニターの高さにも注意しましょう。
・体幹の筋力強化
体幹筋は姿勢保持に重要な役割を担っています。簡単な体幹トレーニングを習慣化しましょう。
勤務前のストレッチルーティンを作る、勤務中にこまめに姿勢を変える工夫をする、可能であれば専門職による姿勢評価を受けることも効果的です。
職場での健康管理プログラムに積極的に参加し、セルフケアと組織の支援を両立させましょう。
医療従事者は長時間勤務による筋骨格系トラブルのリスクが高く、これらの問題は業務効率や生活の質にも影響を及ぼします。
エビデンスに基づいたストレッチと姿勢改善法を日常に取り入れることで、症状の軽減と予防が期待できます。
自身の健康を守るためにも、適切な対策を継続して実践していきましょう。

