仕事や家庭生活などのストレスで、ぐっすり眠れないことはありませんか。このようなときに疑いたいのが不眠症です。ストレスと睡眠、さらには不眠症にはどのような関係があるのでしょうか。これらの関係を解説するとともに病院で受けられる不眠症の治療などを紹介しています。ストレスと睡眠が気になる方は確認しておきましょう。
ストレスと睡眠には深い関係があると考えられています。具体的にどのような関係があるのでしょうか。
睡眠はさまざまな原因で障害されます。原因のひとつがストレスです。ストレスをため込むと、眠りたいのに眠れない状態に陥ることがあります。ちなみにストレス以外では、身体の病気や心の病気、薬の副作用、概日リズムの乱れなどによっても睡眠は障害されます。
ストレスをためると眠れなくなる理由は、脳の覚醒と休息のバランスをうまく取れなくなるからです。具体的には脳を休息させる働きよりも脳を覚醒させる働きが優位になるため眠れなくなってしまいます。
以下の状態が1ヵ月以上状続き、活動時間帯にだるさや集中力の低下などの不調が現れる病気を不眠症といいます。
・入眠障害:なかなか寝つけない
・中途覚醒:寝つけても途中で目が覚める
・早朝覚醒:早朝に目が覚める
・熟眠障害:熟眠感を得られない
ストレスと不眠症にはどのような関係があるのでしょうか。
ストレスは一時的な不眠の原因になるだけではなく、不眠症の原因にもなり得ます。眠れない状態が続くと、眠れない状態そのものがストレスとなり不眠症を引き起こしてしまう点に注意が必要です。過去に行われた調査によると、ストレスが原因の不眠症は睡眠障害で最も多くの割合を占めるとされています。ストレスと不眠症は密接なかかわりがあるといえるでしょう。
以上の通り、ストレスにより不眠症に悩まされる恐れがあります。ストレスによる不眠症を改善するには、どのような対策を講じればよいのでしょうか。
最も重要な対策は、ストレスの原因を取り除くことです。ストレスが不眠症を引き起こしている場合は、ストレスをなくすことで不眠症も改善する可能性があります。ストレスをなくすことができない場合はその他の対策を試しましょう。
リラックスを促す音楽やアロマの利用も、有効な対策になる可能性があります。ストレスにより高まった心と身体の緊張を解きほぐせるからです。眠る前にヒーリングミュージックやアロマを楽しむとよいかもしれません。
眠れないことがストレスになると、不眠が不眠を引き起こす悪循環に陥ってしまいます。このような場合は、睡眠に対する考え方を変えるとよいでしょう。「睡眠時間にこだわらない」、「眠れないときは昼寝をとればよい」、「眠くなるまで起きていても構わない」などと考えると、ストレスが軽減されるので眠れることがあります。ちなみに日中の眠気には、30分以内の昼寝(午後3時まで)が効果的とされています。
もちろん睡眠習慣を見直すことも重要です。一般的に起床時間・就寝時間を一定にする、目覚めたら朝日を浴びる、適度な運動をする、寝る前にぬるいお風呂に入る、寝室の環境を整えるなどに取り組むと眠りやすくなると考えられています。
以上の対策を試しても不眠が改善しない場合は、医療機関を受診しましょう。どのような治療を受けられるのでしょうか。
多くの医療機関で行われている治療が、睡眠薬を用いた薬物療法です。脳の興奮を抑えるGABA受容体作動薬、体内時計を整えて眠りを促すメラトニン受容体作動薬など、睡眠薬にはいくつかの種類があります。睡眠薬は副作用が強いと思われがちですが、現在では副作用の少ないものが登場しています。医師の指導に従い服薬すれば安全なので、不眠にお悩みの方は安心して相談するとよいでしょう。
睡眠薬を用いない非薬物療法も行われています。非薬物療法では、医師の指導のもと生活習慣の改善などに取り組みます(不眠の原因になっている病気がある場合はその病気を治療)。具体的には、寝室の環境を整える、運動習慣を身につける、睡眠に対する考え方を変えるなどに取り組みます。
仕事や家庭生活でストレスをためていると不眠になることがあります。ストレスにより脳の覚醒と休息のバランスが崩れるからです。眠れずに悩んでいる方は、ストレスを取り除きましょう。ストレスを取り除けない場合は、リラックスできるアロマや音楽を利用するとよいかもしません。もちろん医療機関でも相談できます。医療機関では睡眠薬を用いた薬物療法などを受けることができます。不眠は心身の健康に悪影響を及ぼします。ストレスと睡眠が気になる方は、できるだけ早く対策を講じましょう。
更新日:2025/11/25

